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純銀作家物金摘みは、茶道具や工芸品の蓋物・香合・茶入などの蓋の摘み(つまみ)部分に純銀製の装飾金具を取り付けた逸品です。純銀のしなやかな光沢と、作家が丹念に仕上げた造形美が融合し、実用性と美術工芸性を兼ね備えた骨董品として愛好家に高く評価されます。
作家物とは、職人や工房が一点一点手作りし、裏面や底面に作家の落款印や工房印が刻まれているものを指します。純銀は銀99%以上の高純度を誇り、柔らかく加工しやすい特性を持ちます。銀摘みは銀無垢材から鋳造または板打ち出しで成形し、表面は鏡面仕上げまたはマット仕上げで磨き分けられます。
金摘みの文様には、花鳥風月・吉祥文様(松竹梅、鳳凰、雲龍)・禅画的抽象文様など多彩なモチーフが見られます。象嵌、彫金、透かし彫り、彫漆など複数技法を組み合わせ、銀線や金線、貴石をあしらう例もあります。硫化着色で陰影を付け、研磨して高低差を際立たせる「陰影彫り」が高度な逸品を生み出します。
真作判定では、銀摘み裏面に刻まれた作家名・銘印の書体・深さを確認します。鋳造痕(湯口跡)、板打ち出し品なら鏨跡の揺らぎ、透かしの切断面の自然さを観察。純銀刻印(「純銀」「銀950」など)と比重測定による銀合金の純度検査も有効です。後補品は刻印が浅く、鋳型仕上げが均一すぎる場合が多い点に注意が必要です。
作家の知名度・技法の希少性・文様の完成度・サイズによって価格が大きく異なります。無名作家の小型品は10万~30万円程度、名工や人間国宝作家の作品は100万~300万円、共箱・仕覆・作家証明書付き完全品は500万円以上に達する例もあります。
純銀は硫化による黒変(いぶし銀)が風合いを増す一方、過度に進行すると細部の文様が埋もれる恐れがあります。使用後は柔らかな布で軽く拭き取り、化学薬品は避け、専用の銀磨きクロスで軽く磨くにとどめます。湿度50%前後・温度20℃前後の安定環境で保管し、直射日光や塩分に注意してください。
展示時はスポットライトを低角度から当てると、湯気に照らされたかのように銀摘みの凹凸が浮かび上がり、陰影が美しく引き立ちます。蓋物本体と組み合わせて一体感を意識し、作品全体の調和を楽しむことがポイントです。
純銀作家物金摘みは、純銀素材の特性と作家の彫金技術が結晶した逸品です。素材・技法・作家印・来歴・保存状態を総合的に鑑定し、適切に取り扱うことで、その歴史的・美術的価値を末永く楽しみ、次世代へ継承できます。
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