Menu
紫檀(シタン)製の丸座卓は、深い赤茶色の木肌と重厚な材質が特徴の家具で、座卓としてはもちろん、床の間や居間の床置き飾りとしても用いられます。丸形のフォルムは円満や調和を象徴し、木目の美しさを存分に生かせる意匠が人気です。
紫檀は東南アジア原産の硬木で、江戸時代末期から明治期にかけて輸入が始まりました。高級材として家具や仏具に用いられ、明治期の洋風家具ブームとともに丸座卓も製作されるようになりました。当時は輸出用にも多く生産され、洋館や応接間に据えられました。
紫檀材は比重が高く、刃物や鑿を入れるとキメの細かい赤褐色の木目が鮮やかに浮かび上がります。丸座卓には一木造や接ぎ材が用いられ、無垢材の一枚板を贅沢に使ったものは希少性が高く、木地の反りや割れを防ぐための木裏補強が施されています。
座卓は天板、脚部、幕板などで構成され、丸形では脚が天板外周近くに配置される「四本脚」タイプが一般的です。幕板には曲木細工や透かし彫りを組み合わせる意匠もあり、天板縁は唐木風の縁取り加工や金属飾金具でアクセントを付ける例があります。
天板は鉋(かんな)で平滑に仕上げた後、柿渋や蜜蝋ワックスを塗布し、木目を際立たせます。幕板や脚部には組子やほぞ組みで強度を確保し、漆仕上げや拭き漆で家具調度品としての高級感を演出。修理歴がある場合は木裏に補修跡が残ることがあります。
明治期一木造の紫檀丸座卓は、状態良好で100万~200万円が相場。接ぎ材を用いた量産品は30万~80万円、透かし彫りや金具装飾付きの特注品は200万~400万円に上る例もあります。修理跡や割れがある場合は相場の60~80%程度に下落します。
紫檀家具は乾燥収縮による割れを防ぐため、湿度40~60%、温度20℃前後の環境で保管。直射日光やエアコン直風を避け、柔らかな布で定期的に乾拭きし、年に一度ほど蜜蝋ワックスを薄く塗布すると良好な艶と保護効果が得られます。
紫檀丸座卓は、一木性の材質、木目の美しさ、脚部構造や意匠の完成度、保存状態、来歴資料の五要素が揃うことで真の骨董的価値を発揮します。時代を超えて飽きのこない円形デザインと深い木質感は、現代インテリアにも調和し、今後も高い需要を維持し続ける逸品と言えるでしょう。
鑑定のご相談、
お待ちしております!
多くの士業関係の方からも御依頼を頂いております。お気軽にご相談ください。