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茶杓・火箸・塗り小盆は、茶道具の中でも付随する脇役ながら、総合的な「茶道具組」としての調和を生む重要な小物です。素材や作法に応じた形状、漆や木地の質感、作家銘や時代による意匠差が評価の要点となり、骨董市場では独立した逸品としても、茶箱道具としても価値を持ちます。
茶杓は千利休以来、茶盌から抹茶をすくうために用いられ、主に竹製が正統とされます。火箸は炉の灰を操作して火加減を調整する道具で、炉点前の技巧を映す立役者。塗り小盆は茶杓や茶筅、茶杓置きを一時置くための盆点前用具で、漆器技術の粋を示します。江戸時代以降、各流派の好みにより形状や装飾が発展しました。
茶杓は真竹の節間を利用し、節目の景を活かす「節杓」が高く評価されます。作者が銘を入れる「箱書き」は共箱とのセットで真贋を裏付けます。火箸は鉄地に漆を重ねた「黒塗」または金箔を蒔いた「金漆塗」があり、炉縁との色調バランスが重視されます。塗り小盆は朱塗り・黒塗りを基本とし、縁や高台に金蒔絵・平文蒔絵など意匠が凝らされます。
茶杓は銘竹の長さ・先端の曲線・削り目の美しさが見どころで、銘に詩歌や流派名を入れる例が多いです。火箸は先端の曲がり具合や握りの形が使い手の手になじむかが造形ポイント。塗り小盆は縁の反り、面の平滑性、裏面の反り返し・桟(さん)の配置で立ち姿の安定感が評価されます。
茶杓は無銘節杓で10万~30万円、銘入り作家物は50万~100万円。火箸は江戸期黒塗簡素形が10万~20万円、金蒔絵火箸は30万~60万円。塗り小盆は黒塗盆で20万~50万円、蒔絵装飾盆は80万~150万円が一般的な相場です。セットで揃うとプレミアムが付くことがあります。
竹製品は乾燥による割れを防ぐため湿度50~60%を保ち、直射日光や高温多湿を避けます。火箸・小盆の漆器は埃を柔らかな布で軽く払い、化学薬品は避けること。茶会使用後は道具をよく乾燥させてから箱に納め、定期的な点検で劣化を最小限に留めます。
茶杓・火箸・塗り小盆は小さなアイテムながら、骨董的には作家銘、素材、意匠、保存状態、来歴の五要素が揃うことで価値が飛躍的に高まる逸品です。単品でも、煎茶席や茶箱道具組としても魅力あふれる品々であり、今後も茶道具コレクターや漆芸愛好家から高い評価を受けることでしょう。
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