蒔絵飾り棚 買取実績

買取品名
蒔絵飾り棚
買取エリア
秋田県横手市
買取額

コメント
蒔絵飾り棚を買取させて頂きました。

蒔絵飾り棚の概要


蒔絵飾り棚(まきえかざりだな)は、漆塗りの棚板や框組の側板、引出し、背板などに蒔絵装飾を施した室内装飾用の棚です。茶道具や香道具、書画や香炉などの調度品を飾るために用いられ、飾る品物との調和を重視しつつ、棚そのものが美術工芸品としても鑑賞に耐える逸品となります。



歴史的背景と発展


飾り棚の起源は室町時代の床の間装飾にさかのぼり、江戸期には書院造りの諸間に多彩な棚組が現れました。中でも蒔絵飾り棚は桃山〜江戸初期に能登や京の漆工房で発展し、大名家や上級町人の邸内を彩る調度として普及しました。



構造と形式の多様性


蒔絵飾り棚には、掛炉棚(かけろだな)、新六法棚(しんろっぽうだな)、雲龍棚(うんりゅうだな)、矢筈棚(やはずだな)など多様な形式があります。棚板の配置や框の組み方、柱の形状によって用途や美的趣向が異なり、茶席用・書斎用・床の間用といった用途別に設計されます。



素材と下地処理


主に桐や桂、栓などの軽木を使用し、地粉漆を何層にも塗り重ね、研ぎ出し工程で木目を埋めて平滑な下地を作ります。その上に黒漆や朱漆を塗り、部位によっては金箔打ちや研ぎ出し下地を施します。



蒔絵技法の展開


蒔絵の手法は、平蒔絵・高蒔絵・研出蒔絵などを組み合わせます。金粉や銀粉を蒔いた上に研ぎ出しで陰影をつくり、沈金で漆層に文様を刻線し、螺鈿を散りばめるなど、多層的な装飾を展開します。



代表的文様と意匠


棚の側板や引出しには、松竹梅・桐鳳凰・波間群鶴・四季花鳥図など吉祥文様が配されます。背板や棚板天面には、山水図や人物風俗図を蒔絵と螺鈿で表現し、鑑賞者を情景へ誘います。



作例と作家


京蒔絵師の下坂彌太郎や田中竹斎、金沢漆工の高岡派などの作例が有名です。各家伝の文様鏨と蒔絵筆使いにより、作家個々の筆致・彫り味が棚全体に反映され、真作鑑定のポイントともなります。



真贋鑑定のポイント


真作は漆層の厚みと研ぎ跡、金銀粉の粒度、沈金刻線の自然な揺らぎを観察します。引出しの組接ぎや框の鉋目、背板裏の墨書銘、共箱・書付の来歴記録も重要資料です。後補品は漆層が均一すぎ、鏨跡が機械的な場合があります。



市場価値と価格帯


桃山期〜江戸初期の唐物写し棚は数百万円〜千万円超、江戸中期以降の京蒔絵棚は状態・来歴で数十万〜数百万円が相場。共箱・仕覆・古書付きの完全品は高値を呼びます。



保存・取扱いの注意点


漆器は湿度変化や直射日光を嫌います。展示はUVカットガラス越しの間接光、保管は温度20℃前後・湿度50%前後の安定環境が理想。埃は馬毛筆で優しく払い、水拭きや化学薬品の使用は厳禁です。



鑑賞と設えのコツ


飾り棚には茶碗や香炉、花入れなど季節や趣向に応じた道具を配し、棚の文様と対話させます。棚板の間隔を調節し、背板の蒔絵意匠が背後の壁と干渉しないよう配慮すると、蒔絵の美が一層引き立ちます。



文化的意義とコレクション性


蒔絵飾り棚は、室町期の床の間文化から茶道・書院造へと連なる和風空間の象徴です。異なる形式や作家作品を比較蒐集することで、蒔絵技法の歴史的変遷や美意識の変化を学術的に楽しむことができます。



まとめ


蒔絵飾り棚は、漆工芸・木工技術・意匠が融合した総合美術品です。素材・技法・文様・来歴・状態を総合的に鑑定し、適切な環境で展示・保管することで、その歴史的・美術的価値を次世代へと継承できます。



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