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象牙は古代インドから中国、東南アジアを経て日本に伝わり、貴重品として寺院や貴族の間で珍重されてきました。仏教伝来以降、象牙は仏像素材として最高級とされ、特に観音菩薩像は慈悲と救済の象徴として多くの工房で制作されました。
観音菩薩像は、十一面観音や聖観音、如意輪観音など様々な形式があります。象牙像では、柔和な表情、繊細な装飾、蓮座や光背のディテールまで細かく表現し、慈母観音や水月観音のように手に水瓶や蓮の蕾を持たせるなど、細部意匠が高く評価されます。
象牙彫刻は高硬度ながら彫りやすい特性を生かし、手彫りによる細密彫刻が基本です。鏨(たがね)や彫刻刀を用い、浅彫りと深彫りを巧みに使い分けて表情や衣文の陰影を浮かび上がらせます。特に眉目や頬の曲線、指先の丸みなど微細な造形が職人の腕を示します。
来歴が明確な寺院旧蔵品や名工・京象牙彫の作者銘があるものは、最高評価されます。また、像高(高さ)が大きく、装飾や透かし彫りがある豪華な光背付き像は希少価値が飛躍的に高まります。
象牙は乾燥と湿気の急激な変化に弱いため、湿度50~60%・温度20~25℃程度で管理します。直射日光を避け、手で触れる際は手袋を使用し、共箱や保護布で保管します。
象牙製の観音菩薩像は、仏教美術と職人技が融合した逸品であり、素材の質、彫刻技術、来歴、保存状態が価値を左右します。真贋・来歴が明確で保存良好な作品は、今後も骨董市場で高い評価と需要を維持し続けることでしょう。
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