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純銀製銚子(ちょうし)は、茶席や懐石の湯煎用具として用いられる注器で、銀の優れた熱伝導性と抗菌性を活かした伝統工芸品です。中でも「尚美堂」(しょうびどう)の銚子は、明治以降の日本洋銀・純銀工芸を牽引した老舗ブランドで、洗練された造形と高い製作精度が評価され、骨董市場でも注目を集めています。
尚美堂は明治30年代創業の銀器専門店・工房で、日本工芸会会員や宮内庁御用達を多数輩出。純銀洋銀問わず茶道具や食器を手掛け、伝統技法と西洋鍛金技術を融合した製品を展開しました。特に昭和期の純銀シリーズは希少性が高く、刻印やメーカー銘が美術品的価値を裏付けます。
尚美堂銚子は、胴部が膨らむ「玉形」や細首の「首細形」、口縁に湯切れを良くするロート形など多様なフォルムがあるほか、把手(把っ手)には銀線を螺旋状に巻いた装飾が施される例も。鏡面仕上げの他、ヘアラインや布目仕上げで抑えた艶消しなど、用途やデザイン性に応じた仕上げが選べます。
使用銀は純度99.9%以上の純銀(SILVER999)で、鍛金による薄板成形とロウ付けが基本。胴体と注ぎ口、把手は別部品で製作し、つなぎ目を流麗に仕上げることで製作者の腕前を示します。最後に研磨・鏡面仕上げで銀の光沢を引き出し、変色防止のためのクリアコーティングや活性炭研磨を施すこともあります。
尚美堂純銀銚子は、状態良好・刻印・共箱完備のものが50万~100万円。小型のシンプルフォルムは30万~50万円、中型以上の凝った装飾品や特注品は100万~200万円が相場です。変色や擦れがある場合は相場の70~80%程度に下落します。
銀器は硫化による黒ずみを生じるため、使用後は中性洗剤で素早く洗浄し、水気を完全に拭き取ります。保管時は防湿ケースに入れ、銀クロスや活性炭を同梱して酸化を抑制。直射日光・高温多湿を避け、定期的に銀磨きクロスで優しく磨くことで美観を維持します。
尚美堂純銀銚子は、純銀素材の質感と伝統的鍛金技法が融合した高級茶道具です。刻印、造形、仕上げ、保存状態、来歴資料の五要素が揃うことで骨董的価値が最大化し、茶道具コレクターや銀器愛好家から長く支持される逸品と言えるでしょう。
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