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青磁香炉は、淡い青緑色を帯びた陶磁器製の香炉で、澄んだ釉調と透光性のある貫入文様が特徴です。中国宋代に始まる青磁技法が日本や朝鮮にも伝播し、器形や装飾の変遷を経ながら茶道や香道における高雅な道具として愛用されてきました。
青磁は中国の龍泉窯や衡州窯で宋代(10~13世紀)に完成し、日本では鎌倉期に董阿山窯などで模倣が行われました。室町~桃山時代には南蛮貿易を通じて欧州へも輸出され、その価値が国際的に認められた貴重品でした。
胎土には鉄分を含む陶土が用いられ、還元焔洗調を繰り返した高温焼成によって釉薬中の鉄分が微細結晶化し、独特の青磁光沢と貫入(ヒビ模様)を生み出します。釉厚の変化や焼成温度の微調整が色調の深浅を左右します。
香炉の器形は、蓋付きの円形・六角・三足など多様で、蓋摘みには動植物や吉祥文の彫刻・透かしが施されることがあります。胴部には青磁釉の景色を活かす無文器が主流ですが、場合により鉄絵や金彩で線刻文様を加えた豪華装飾品も存在します。
青磁は貫入に汚れが入りやすいため、湿度50~60%、直射日光を避けた環境で保管します。使用後は乾いた柔らかな布で拭き、強い衝撃や急激な温度変化を避けることで貫入や釉面の劣化を防ぎます。
宋・元代の本窯龍泉青磁香炉は希少で数百万円~千万円超、明清期や日本写し品の良品は50万~200万円、状態や来歴不明の実用品は10万~50万円が相場です。箱書きや鑑定書が揃うものはさらに高価となります。
青磁香炉は、釉調の深み、貫入の美、器形の均整、装飾の精緻さ、来歴資料の五要素が揃うことで骨董的価値が飛躍的に高まります。茶席・香席を飾る調度品としてだけでなく、コレクションや投資対象としても安定した需要を誇る逸品です。
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