香筒 買取実績

買取品名
香筒
買取エリア
鳥取県米子市
買取額

コメント
香筒を買い取らせて頂きました。






香筒の骨董的価値



概要


香筒(こうづつ)は、線香や末香を携帯・保存するための小型容器で、茶道具や香道具の一部として用いられます。素材や装飾によって実用性のみならず装飾品としての美的価値が高く評価され、骨董市場では素材・技法・作者・保存状態・来歴の五要素を総合して価値が決まります。



歴史的背景


香筒の起源は室町時代の香木輸入に伴う携帯用容器に遡り、江戸時代には香道の隆盛と共に銅製・漆器製・陶磁器製・竹製など多様な形式が生まれました。特に公家・茶人の嗜好を反映した蒔絵や螺鈿、象嵌を施した豪華な作品は茶席や香会で用いられ、明治以降は美術工芸品としても重宝されました。



素材と制作技法


主な素材は以下の通りです:

- 銅・真鍮:鋳造後に打ち出し、彫金や金銀象嵌で文様を装飾。

- 漆器(木地):木地に砥粉漆下地の上に平蒔絵・高蒔絵・沈金を重ねる。

- 陶磁器:素焼後に上絵付・金彩を施したもの。

- 竹・象牙・角:竹根や角材を彫刻し、表面を研磨・塗装して仕上げる。

装飾技法としては、蒔絵・螺鈿・沈金・象嵌・色絵・金彩などが用いられ、素材の特性を活かした技術が評価されます。



意匠と形状


香筒の形状は円筒形が基本ですが、蓋、身、底部の取り合い、摘み(つまみ)の意匠に多様性があります。蓋摘みは珠形・蓮華形・宝珠形などがあり、胴部には松竹梅・流水・琳派風草花・几何文様などが金銀粉や螺鈿で描かれ、携帯性と美しさを両立させています。



骨董的評価ポイント



  • 作者銘・款識:底部・蓋裏・内桟に刻まれた作家名や工房印の真偽と鮮明度

  • 素材の質:銅地の鋳肌、漆下地の厚み、陶磁胎の緻密さ、竹根や象牙の木理

  • 装飾技法:蒔絵の金粉粒子、螺鈿貝片のはまり具合、象嵌の緻密さ、金彩の艶

  • 造形の精度:蓋の嵌合精度、摘みのフィット感、筒身の反りや歪みの有無

  • 保存状態:漆の剥落・チッピング、金彩摩耗、貫入への汚れ、緑青や錆の進行度

  • 来歴資料:共箱・仕覆、箱書き筆跡、旧蔵家記録、展覧会図録掲載履歴



市場価格の目安


無銘実用品級の銅製香筒は5万~10万円、漆器蒔絵や螺鈿装飾の高級品は20万~50万円、象牙や角材の彫刻香筒は30万~70万円程度が相場です。作家物・来歴明確品や人間国宝作例は100万~200万円以上になる場合があります。



保存管理と取り扱い


香筒は湿度変化や直射日光に弱いため、室温20℃前後・湿度50~60%で保管。埃は柔らかな刷毛で優しく払い、化学薬品や研磨剤は絶対に使用しないこと。漆器は乾拭き、金属部は乾布で軽く拭き、防錆油は必要最低限に留めます。共箱と仕覆を用いて衝撃を避け、展示は短期間に留めることが長期保存の鍵です。



まとめ


香筒は、作家銘、素材、装飾技法、造形、保存状態、来歴資料の六要素が揃うことで骨董的価値を発揮します。茶席や香席に彩りを添えるだけでなく、日本の工芸技術を今に伝える逸品として、コレクターや茶道具・香道具愛好家から今後も高い評価を受け続けるでしょう。






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