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龝月明は近現代日本画壇で活躍した作家で、独自の幽玄な色彩表現と大和絵の伝統を融合させた作風が特徴です。本作「屏風」は、六曲一双または四曲一隻の形式で制作され、絹本に岩絵具と箔彩を用いて幻想的な山水図や花鳥図を描き出した傑作とされます。
屏風は通常、左右を向かい合わせに立てる六曲一双が多く、各扇ごとに連続する絵柄で全体が一つの大画面を構成します。骨董品市場では折り目の深さや金具(鈕)の状態、引目(うちめ)紙の質感が評価ポイントとなり、完全無傷の美品は希少価値が高まります。
龝月明は、岩絵具の粒子感を生かした多層的な色調表現を得意とし、背景には金泥や銀泥箔を散らして光の揺らぎを演出します。筆跡は隠微ながらも力強く、細部の糸目描写や白群によるハイライトが画面に立体感を与えます。
右隻下端または左隻下端に筆による「龝月明筆」あるいは「明」一字の落款があり、朱文陰刻の丸印や小印が捺されています。真作を見分けるには、筆跡の筆圧変化や墨色の滲み、印章の彫り深さと輪郭の鮮明さを確認します。
屏風は大作ゆえに、制作年や展覧会出品歴、著名収蔵家所蔵の証明が来歴書付として添えられる場合があります。箱書き内蓋や同時代の目録、画商の紙袋など付属資料が揃うと、骨董価値は飛躍的に上昇します。
裏打ち和紙の張り替え履歴や折り目の折損具合、扇骨(金属または木骨)の状態を総合的に観察します。近年の贋作は紙質や岩絵具の顔料組成が判別されやすく、UV検査やX線透視で下絵の層構造を比較すると確度が高まります。
龝月明作の屏風は、保存状態と来歴次第で数百万円〜千万円を超える落札例があります。特に戦後初期の代表作や金泥大量使用の大作は希少性が高く、国内外の美術商やオークションで高額取引される傾向があります。
屏風は直射日光や高湿度を避け、温度20℃前後・湿度50%前後の安定環境で管理します。展示時は長期間の開扇を避け、適宜折りたたんで桐箱に収納し、虫害やケカビを防ぐため防虫香や防湿剤を併用します。
龝月明の屏風は、扇毎に変化する色調のグラデーションや金銀箔の反射による時間帯ごとの表情変化を味わうことが魅力です。観賞する際は光源の角度を変え、細部の糸目描写や箔裏の地彩をじっくりご覧になると、画家の技巧と詩情が一層感じられます。
龝月明作屏風は、技法・画材・落款・来歴が骨董的価値を左右する大規模日本画作品です。真贋鑑定、来歴証明、保存管理を徹底することで、その美しさと歴史的意義を次世代へ伝えることができます。
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