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KPM(Königliche Porzellan-Manufaktur Berlin、王立ベルリン磁器製造所)は、1763年プロイセン王フリードリヒ大王の命により設立されたヨーロッパを代表する磁器メーカーです。高級磁器の代名詞として知られ、繊細な白磁の質感と精緻な絵付けが特徴。KPM製の皿は食器としての実用性を超え、美術工芸品としても高く評価されています。
創設当初は王室専用の磁器を蒐集・製造していましたが、19世紀には民間向け高級家具調度品としても広く普及。ナポレオン戦争やドイツ統一の動乱期を乗り越え、ヴィクトリア朝やウィーン分離派など各国の美術潮流を取り入れたデザインを展開。20世紀には工業化の波に抗して伝統的手仕事を堅持し、クラシカルとモダンの融合を果たしました。
KPMの磁器は高度に精製されたカオリンと長石を主原料とし、高温(約1,400℃)で焼成することで硬度と透明感を両立。ロクロ成形や型吹きによる均一な厚み、素地の歪みの少なさが持ち味です。絵付けは職人による手描き下絵、彩色、金彩、プラチナ彩まで多層工程を経ており、焼成後の発色や箔の輝きが格別です。
KPMの皿は伝統的なロココ様式の金枠装飾から、アール・ヌーヴォーの流れるような草花文、バウハウスの幾何学模様まで幅広いデザインがあります。ブランドのトレードマークである「王冠KPMロゴ」は裏面に刻印され、イニシャルの形状や刻印の深さ、書体から製造年代や工房を特定できます。
19世紀後期のロココ金縁皿は、一客あたり30,000円~100,000円程度。限定シリーズや著名デザイナーとのコラボレーション品は100,000円~300,000円以上。プラチナ彩や稀少色絵模様の希少品は500,000円を超える場合もあります。カケや補修歴があるものは相場の50~70%程度に下落します。
KPM磁器は急激な温度変化や強い衝撃に弱いため、食洗機や電子レンジでの使用を避け、手洗いを推奨。柔らかなスポンジと中性洗剤で洗い、乾燥後は専用ラックや表示棚に立てて保管します。金彩部分は摩耗しやすいため、布地に包むか仕切りを入れて衝突を防ぐことが望ましいです。
KPMの皿は高い技術と美意識が結晶した磁器工芸品であり、銘印、製造技法、デザイン、保存状態、来歴資料の五要素が揃うことで骨董的価値が最大化します。実用品としての魅力と、コレクションとしての希少性を併せ持ち、今後も国内外の愛好家から高い評価を受け続ける逸品です。
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