1947年(昭和22年)-現在
京都府出身の日本の陶芸家。
日本の伝統的な陶芸技術を研究する一方、まったく新しい視点で作品を制作する。
陶芸作品はシャープで繊細さが特徴。
イタリア・ファエンツア国際陶芸展にてグランプリ受賞、日本では日本陶磁協会賞を受賞するなど、多くの賞に輝いている。
2012年には2011年度日本陶磁協会賞と金賞を受賞した。
日本のみならず海外でも活躍しており、国内外で人気が高い。
生い立ち
深見陶治が生まれたのは、1947年の京都府京都市でした。
実家は窯元で、6人兄弟の末っ子として生まれました。
窯元で育った影響もあり、京都市工芸指導所で陶芸の技術を学び、自らも陶芸の道へと進みます。
1963年に京都市工芸指導所を卒業、そのまま京都市工芸指導専攻科へ進み、1965年に修了しています。
卒業後すぐの1967年、第10回新日展で初入選を果たしました。
新日展とは、1907年の第1回文部省美術展覧会(文展)から始まった、日本美術界を牽引する展覧会です。
当時は日本画、西洋画、彫刻の3部門のみでしたが、美術工芸や書といった部門の5部門へ増えました。
名前も帝展、新文展、日展と時代に合わせて名称や開催組織が変化し、現在の公益社団法人日展へと継がれています。
深見陶治は、第10回新日展の入選から1989年まで毎年出品し、その間の入選回数は17回に上りました。
1974年には京都府工芸美術展で優勝、1982年に中国国際陶芸展で大賞を受賞しています。
この頃から海外の展覧会へ出品を始め、飛躍的な人気を博すようになっていきます。
1984年の改組第16会展で特選を受賞すると、さらに翌年にはイタリア・ファエンツア国際陶芸展でグランプリを受賞しました。
続けて、1992年の日本陶磁協会賞、1996年の毎日芸術賞を受賞。
また、1999年にはイタリア・ファエンツア国際陶芸美術館で開催された世界現代陶芸10人展に招かれています。
2005年にも、ファエンツア国際陶芸美術館で個展を開催しています。
2000年代の深見陶治の功績
深見陶治は若手の頃から注目を集め、数々の展覧会で受賞した人物です。
しかし2000年代になってもその勢いは衰えず、多くの功績を残しています。
2008年には日本陶芸界への功績が認められ、京都市文化功労者に表彰されました。
また、2010年には第3回智美術館大賞、優秀賞を受賞し、翌年2011年には日本陶磁協会賞の金賞を受賞しています。
一方で深見陶治は、1988年より日展への出品を取りやめ、団体に所属しない方針へと変えています。
日展での功績が振るわなかったからではなく、40歳を節目に団体に頼らず自分の力で陶芸を続けたかったからです。
以降は、世界各地で個展を開催し、日本だけでなく海外へと活動を広げていきました。
作品の特徴とその魅力
深見陶治の作品は、陶芸の伝統と独創的で新しいフォルムを打ち出していることが特徴です。
特に青白磁(せいはくじ)と呼ばれる作品が多く、透明感のある青色と斬新なフォルムで深見陶治の世界を体現しています。
青白磁とは、青味が出る鉄分を含んだ釉薬をかけ、酸素を減らした状態で焼いた磁器で、中国が起源と考えられています。
透明の釉薬を用いる白磁や、青緑色の釉薬をかける青磁とは製法の異なることがポイントです。
焼くときの酸素の量や釉薬の厚みによって、青味が変化するため、色彩豊かなバリエーションが生まれます。
深見陶治は青味だけでなく、その形にもこだわっていました。
『景』や『心象』などの作品は、非常に鋭利な部分と曲線を見事に表現しています。
空気がピンと張り詰めているような緊張感と、空間に風を感じる作品です。
ぐい呑みや花瓶など、ふわりと柔らかい作品も制作しており、その造形の幅広さに驚かされます。
深見陶治の作品は初期も美しい
深見陶治は、若くして才を発揮した日本の陶芸家です。
特に青白磁を得意とし、見事な色合いを作り出しました。
作品は独特なフォルムも特徴で、鋭利な先端をしたものや薄い筒状をしたものなど多様です。
独自の世界観を持ち、日本の伝統工芸を守りながらも、新しい風を吹き込んだことが深見陶治の功績といえるでしょう。
初期は花瓶やぐい呑みなど、丸みが美しいシンプルな作品を生み出しています。
初期の作品も、薄い青色の美しい青白磁が魅力的です。
青味の透明感と曲線美を楽しめます。
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