荒川修作
あらかわしゅうさく

建物には居住するだけでなくあらゆる産業や生業活動を行う場としての機能がありますが、建築自体がアートの分野で評価されることも少なくありません。

古い民家や寺社など歴史的な文化遺産はもちろん、現代建築でも芸術的なデザインと設計、機能性やコンセプトなどが多くの人の心を引き付けるものが数多く存在します。

そうした建物のアートを含めた作品で世界的な評価を受ける日本人の一人に「荒川修作」の名が挙げられるでしょう。「世界のアラカワ」と称される美術家で、その独特の哲学を込めた建築作品のうちには、実際に人々が生活を送る場となっているものもあります。

本記事ではそんな荒川修作のプロフィールや生い立ちを概観しつつ、作品とその魅力についてご紹介します。

プロフィール



1936年(昭和11年)7月6日‐2010年(平成22年)5月19日
昭和から平成の時代にかけて活躍した日本の現代美術家。
戦時下で幼少期を過ごし、多くの生死を目の当たりにしたことが芸術の道へ進む契機になったとされています。

反芸術を掲げる前衛芸術グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」のメンバーとして活動。身体感覚の常識を問い直すかのようなダイナミックな作風で知られ、ニューヨークを拠点に詩人のマドリン・ギンズとの共同による作品も高く評価されています。

生い立ち



荒川修作は1936年(昭和11年)7月6日、愛知県名古屋市に生を受けました。

愛知県立旭丘高等学校美術科を卒業し、武蔵野美術学校(現:武蔵野美術大学)に進学しますが中退。1957年(昭和32年)、無鑑査自由出品制の展覧会である読売アンデパンダン展に初めて作品を出品します。そして同展に参加した若手アーティストを中心として、1960年(昭和35年)に「反芸術」を標榜する前衛芸術グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」の結成に関わります。メンバーには吉村益信・風倉匠・篠原有司男・赤瀬川原平・岸本清子らがいました。

同年9月、東京の松村画廊で「もう一つの墓場」と題した初めての個展を開催。翌1961年(昭和36年)にアメリカへと渡り、以後ニューヨークを拠点に活動するようになります。また1962年頃からは、詩人で美術家のマドリン・ギンズと共同で作品を制作するスタイルとなったのも特筆点です。

当初の荒川は棺桶状のものをモチーフとして、そこにオブジェを入れ込んだようなやや怪異な雰囲気の作品を手がけていましたが、渡米後には「図形絵画」と称される文字・図形・矢印などを描くようになります。

1970年(昭和45年)には第35回ヴェネツィア・ビエンナーレに荒川にとって代表作となる『意味のメカニズム』を出展。また1972年(昭和47年)にはミュンヘンオリンピックの大会ポスター制作を担当しました。

1982年(昭和57年)に日本での叙勲で紺綬褒章を受章。1986年(昭和61年)にはフランス文芸シュバリエ勲章を受章するなどその功績が国内外から称えられています。

1990年代以降には制作ジャンルを建物や庭園などの建築分野へと広げ、空間と人間の行動との相関に深い関心を寄せるようになります。1994年(平成6年)には岡山県の奈義町現代美術館に『遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体』を、建築家の磯崎新とのコラボレーションにより制作。

翌年は岐阜県養老町にマドリン・ギンズと構想したテーマパーク型アート作品『養老天命反転地』を建設しました。

1997年(平成9年)にはグッゲンハイム美術館で日本人としては初めての個展を開催。
2003年(平成15年)に紫綬褒章を受章し、2005年(平成17年)に過去作品『養老天命反転地』のコンセプトを継ぐ集合住宅型作品『三鷹天命反転住宅~In Memory of Helen Keller~』を東京都三鷹市に建設。これは販売され、住宅として実際に人が生活していることでも知られています。2008年(平成20年)にはニューヨークのイースト・ハンプトンにも『バイオスクリーブ・ハウス』を建設し、荒川はこれまでの美術・芸術の分野ではカテゴライズできない自身の活動を「コーデノロジスト」と呼称しています。

2010年(平成22年)5月19日、荒川はニューヨークの病院で73年の生涯を閉じました。

荒川修作作品の特徴とその魅力



荒川が残した作品は数多くありますが、その中でも前述した『三鷹天命反転住宅』を例に取り上げてみましょう。

タイトルのとおり集合住宅型のアート作品で、カラフルで多様な形状のブロックが集積したような外観をしています。荒川らによるとこれは「死なないための住宅」と表現されており、五感をフルに刺激して日々を送り、精神と身体を遊びながら鍛えることによって寿命に抗うというコンセプトから「天命反転」と冠されました。まるで遊具のような仕掛けが随所に施されたこの住空間は小さなテーマパークのようでもあり、無意識に遊んでしまうといった行動を喚起することも狙いの一つです。

こうした遊び心で人間の動きそのものを変容させる試みは、荒川修作作品の大きな魅力といえるでしょう。

新たなアート概念の確立者、荒川修作


建築アートでの印象が強い荒川ですが、その活動領域は従来の視点ではカテゴライズしきれない新たな概念といっても過言ではないでしょう。

テーマパーク型や住宅型の作品は訪れることもできるため、荒川作品の魅力を実際に体感してみるのも一興ではないでしょうか。

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