樂 一入
らく いちにゅう

茶道具といえば、樂焼(らくやき)が有名ですが、その中でも特に優れた作品を残したのが、四代目樂吉左衛門として知られる樂 一入です。彼は茶道の世界で高く評価され、千家十職の一つに数えられる楽家の当主でした。この記事では、樂 一入のプロフィール、来歴、作品の特徴、代表作品などを紹介します。

プロフィール


樂 一入は寛永17年(1640年)に京都で生まれました。本姓は田中で、通称は吉左衛門でした²。父は三代目樂吉左衛門として名高い樂 道入(らく どうにゅう)で、幼い頃から陶芸を学びました。明暦2年(1656年)に父から家督を譲られて四代目樂吉左衛門を襲名しました。元禄4年(1691年)に養子の宗入(そうにゅう)に家督を譲って隠居し、一入と号しました。元禄9年(1696年)1月22日に死去しました。享年57歳でした。

来歴


樂 一入は父の樂 道入から受け継いだ技術を発展させ、茶道具の製作に力を注ぎました。特に赤楽(あからく)や黒楽(くろらく)の茶碗を得意としました。赤楽は赤土に透明釉をかけて焼く技法で、黒楽は黒土に黒釉をかけて焼く技法です。樂 一入は赤楽では道入の砂釉に近いものを用いながら、黒楽では道入に稀に見られる黒釉の中に赤い斑文が現れる朱釉(しゅゆう)を完成させました。また、焼貫(やきぬき)という焼成手法も始めました。これは黒楽茶碗と同じ窯を用いて温度を上げて焼き締め風な土の変化を楽しむ技法です。

樂 一入は千家十職の一つである楽家の当主として、千家好みの茶碗を作ることができました。千家十職とは、千利休以来の千家流茶道の伝統を守り続けた十人の陶工たちのことです。樂 一入は千家流茶道の名人たちからも高く評価され、多くの書付や判詩銘が残されています。書付や判詩銘とは、茶人が茶碗などの茶道具に対して自分の感想や評価を書き付けたものです。

作品の特徴


樂 一入の作品は小ぶりで妙品であり、味わい深いものが多いです。器形には父の樂 道入の影響はあまり見られず、むしろ初代長次郎(ちょうじろう)の作品を倣っています。高台や胴裾などに一入らしさがありますが、古格があります。釉調は道入の技術を受け継ぎながらも、赤楽や黒楽ともに古格の造形に合った落ち着きのあるものに仕上げています。

樂 一入は自分で捺した印章も特徴的です。父の道入が自分で捺した自楽印(じらくいん)に似ていますが、「自」の部分が「白」となっています。また、やや小振りで高台内や胴裾から高台脇に捺しています。

代表作品


樂 一入の代表作品としては以下のようなものがあります。

  • 黒楽茶碗 山里(やまざと):碌々斎(ろくろくさい)書付

  • 赤楽筒茶碗 青苔(あおこけ):了々斎(りょうりょうさい)書付

  • 焼貫水指 山川(さんせん):吸江斎(きゅうこうさい)在判詩銘・書付

  • 黒楽茶碗 嘉辰(かしん):啐啄斎(せったくさい)書付

  • 黒楽平茶碗 曉天(ぎょうてん):一燈(いっとう)書付

  • 赤楽茶碗 明石(あかし):如心斎(じょしんさい)書付

  • 赤楽一重口水指:杉木普斎直書付

  • 赤楽棕櫚皿:樂家旧蔵


これらの作品は財団法人樂美術館や国立国会図書館デジタルコレクションなどで見ることができます。

まとめ

この記事では、茶道具の名工として知られる樂 一入について紹介しました。彼は四代目樂吉左衛門として赤楽や黒楽など多彩な技法で茶碗を作りました。千家十職の一つである楽家の当主でもあり、千家流茶道の名人たちからも高く評価されました。小ぶりで妙品の作品には味わいがあり、自分で捺した印章も特徴的です。彼の代表作品は樂美術館や国立国会図書館デジタルコレクションなどで見ることができます。樂 一入は茶道具の歴史に大きな足跡を残した名工です。彼の作品を通して、茶道の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
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