池田亮司
いけだ　りょうじ

プロフィール

池田亮司は1966年に岐阜県で生まれ、現在はパリと京都を拠点に活動する電子音楽作曲家・現代美術家です。音と映像がシンクロしたインスタレーションやライブパフォーマンスを得意とし、世界各地の美術館やフェスティバルで展示や演奏を行っています。超音波や周波数など音の本質的な特性と、光やデータなど映像の本質的な特性を、数学的精度と美学の両面から追求することで、見る者・聞く者の身体感覚や知覚に働きかける作品を生み出しています。

来歴

池田亮司は1990年から音楽活動を開始し、1994年からは日本を代表するメディアアーティストグループ「ダムタイプ」の活動に作曲家として参加しました。ダムタイプは京都芸術大学の学生を中心に結成されたマルチメディア・パフォーマンス・アーティスト集団で、個々の専門性を持ったメンバーが独自の表現活動と平行しつつ、コラボレーションを行うヒエラルキーのない集団として注目されました。その活動はカリスマ的存在であった古橋悌二の没後も若いメンバーを加えて現在も継続されています。

池田亮司は1995年に初のソロアルバム「1000 fragments」を発表し、以降、国内外のレーベルから多数の作品をリリースしました。1997年に発表したアルバム「+/-」や1998年に発表したアルバム「0°C」は、批評家から高い評価を受け、国際的な評価も高まりました。2001年にはオーストリアのリンツで開催される世界的なメディアアートの祭典、アルス・エレクトロニカでデジタル音楽部門でGolden Nica賞を受賞しました。また、2000年からは電子音楽家で現代アーティストとして日本でも知られるカールステン・ニコライとコラボレーションし、音の視覚化にフォーカスしたリサーチプロジェクト「cyclo.」をスタートさせました。

池田亮司は音楽活動に加えて、インスタレーションや映像作品も制作し始めました。2002年にはNTTインターコミュニケーション・センター（ICC）で初の個展「db」を開催し、音と映像がシンクロした作品「data.tron」や「data.scan」などを発表しました。2006年からは「datamatics」というプロジェクトを開始し、テキストや動画などあらゆるタイプのデータを二対のバーコードパターンに変換した作品「test pattern」や、宇宙のデータを音と映像に変換した作品「data.anatomy」などを制作しました。2011年にはニューヨーク市最大級の巨大な歴史的建造物であるパーク・アベニュー・アーモリーで「the transfinite」という展覧会を開催し、壁と床にデータのパターンを投影した作品「test pattern [nº4]」や、音と光のインスタレーション「spectra [new york]」などを発表しました。

池田亮司は2012年からは「superposition」というプロジェクトを開始し、素粒子の振る舞いを音と映像に変換した作品「supersymmetry」や、マイクロとマクロの世界を表現した作品「micro | macro」などを制作しました。2014年にはPrix Ars Electronica Collide@CERN Artists Residency賞を受賞し、ヨーロッパ原子核研究機構（CERN）でのレジデンスを行いました。2018年にはヨーロッパ最大の近現代コレクションを誇るパリのポンピドゥ・センターで「Ryoji Ikeda | continuum」という展覧会を開催し、音と映像のインスタレーション「code-verse」や、音と光のインスタレーション「spectra III」などを発表しました。2019年にはヴェネツィア・ビエンナーレの日本館で「cosmo-eggs」という作品を発表しました。

作品の特徴

池田亮司の作品の特徴は、音と映像がシンクロしたインスタレーションやライブパフォーマンスであることです。池田亮司は音と映像の素材として、超音波や周波数、光やデータなどを用います。これらの素材は、人間の知覚の限界に挑戦するようなものであり、池田亮司はそれらをコンピュータとデジタルテクノロジーを駆使して、数学的精度と美学の両面から操作します。その結果、池田亮司の作品は、見る者・聞く者の身体感覚や知覚に強烈に働きかける作品となります。

池田亮司の作品は、音と映像がシンクロしたことで、時間や空間を超えた体験をもたらします。池田亮司は、音と映像の関係性を探求することで、音楽と視覚芸術の境界を曖昧にし、新しい表現領域を開拓しています。池田亮司の作品は、見る者・聞く者の存在を包み込むような没入型の作品であり、その中で自分の位置や感覚を見つめ直すことができます。

代表作品

・「test pattern」
テキストや動画などあらゆるタイプのデータを二対のバーコードパターンに変換した作品です。音と映像がシンクロしたパターンが、壁や床に投影されます。パターンは、コンピュータの性能の臨界点と人間の知覚の限界の関係性を探るものです。この作品は、データの可視化や音響化の可能性を示すとともに、データの美しさや恐ろしさを感じさせます。

・「data.anatomy」
宇宙のデータを音と映像に変換した作品です。宇宙の構造や運動、エネルギー、重力などのデータを、高精細な映像と音響によって表現します。この作品は、宇宙の秩序や無秩序、複雑さや単純さ、無限さや有限さなどの対比を描き出します。

・「supersymmetry」
素粒子の振る舞いを音と映像に変換した作品です。素粒子の衝突や崩壊、反物質や暗黒物質などの現象を、光と音のインスタレーションによって再現します。この作品は、素粒子の世界の美しさや神秘性、そしてその世界と私たちの世界との関係性を問いかけます。

まとめ

池田亮司は、音と映像がシンクロしたインスタレーションやライブパフォーマンスを得意とする電子音楽作曲家・現代美術家です。池田亮司は、音と映像の素材として、超音波や周波数、光やデータなどを用いて、数学的精度と美学の両面から操作します。その結果、池田亮司の作品は、見る者・聞く者の身体感覚や知覚に強烈に働きかける作品となります。池田亮司の作品は、音と映像がシンクロしたことで、時間や空間を超えた体験をもたらします。池田亮司は、音と映像の関係性を探求することで、音楽と視覚芸術の境界を曖昧にし、新しい表現領域を開拓しています。池田亮司は、世界各地の美術館やフェスティバルで展示や演奏を行っており、国際的な評価を得ています。池田亮司は、現代芸術の分野で最も革新的で影響力のある作家の一人と言えるでしょう。