永楽作　交趾内銀　酒器揃 買取実績

永楽作 交趾内銀 酒器揃の骨董的価値と魅力

1. 永楽作とは

永楽作（えいらくさく）とは、京都で室町時代から続く陶芸窯「永楽家」によって製作された陶磁器のことを指します。永楽家は、千利休をはじめとする茶人たちに愛された茶器や酒器の名窯であり、茶道具や酒器の世界においても名高い存在です。特に永楽善五郎（12代、13代）は、色絵技法や金銀彩を駆使した華麗な作品を多数生み出し、骨董市場でも高い評価を受けています。

2. 交趾焼とは

交趾焼（こうちやき）は、ベトナムの交趾地方で発展した色絵陶器で、日本には安土桃山時代に伝来しました。鮮やかな青、緑、黄、赤の色彩が特徴で、特に緑と黄の発色は独特の艶やかさを持ちます。永楽家では、交趾焼の技法を取り入れ、日本風にアレンジした作品を制作しており、これが「永楽交趾」として知られるようになりました。

3. 交趾内銀 酒器揃の特徴

（1）形状とデザイン

交趾内銀の酒器揃は、酒器の内部に銀箔を施し、外側に交趾焼の鮮やかな色彩を纏わせた豪華な仕上がりが特徴です。具体的には、以下のような構成で揃えられます：

• 徳利（とっくり）：胴が丸みを帯びた形状で、注ぎ口が絞られたデザイン。


• 盃（さかずき）：高台がついた浅い形状で、内部の銀箔が光を反射して華やかさを引き立てる。


• 銚子（ちょうし）：注ぎ口がついた小型の容器で、温酒を提供する際に用いる。

（2）内銀装飾の技法

• 銀箔貼り：酒器の内部に銀箔を貼り付け、経年により美しい銀色の光沢が現れる。


• 研ぎ出し技法：銀箔の表面を研磨し、滑らかで光沢感のある仕上がりにする。

（3）色彩の美しさ

交趾焼の特徴である鮮やかな色彩も、この酒器揃いの大きな魅力です。特に緑と黄の色彩が際立ち、華やかな印象を与えます。また、外側の艶やかな色彩と内側の銀箔のコントラストが美しく、光を反射することで豪華さが際立ちます。

4. 骨董市場における価値

（1）製作年代と評価

永楽作の交趾内銀 酒器揃は、その製作年代や作家銘、保存状態によって大きく価値が異なります。特に、12代・13代 永楽善五郎が制作した作品は、その完成度と芸術性の高さから非常に高額で取引されることが多いです。昭和初期に製作された作品も保存状態が良好であれば、数十万円から数百万円単位で取引されることがあります。

（2）真贋判定のポイント

• 底部の銘：永楽家の銘が鮮明に刻まれているか。


• 銀箔の状態：内銀の光沢がしっかりと残っているか。


• 交趾焼の色彩：緑や黄の発色が鮮やかで、剥離や退色が見られないものが高評価。

（3）保存状態の重要性

交趾内銀の酒器揃は、銀箔が剥がれやすいため、保存状態が市場価値に大きく影響します。特に銀箔部分が剥がれたり、黒ずんでいる場合は評価が下がる傾向にあります。一方で、銀箔が美しい状態で保たれているものや、外側の交趾焼の発色が鮮明なものは高額取引の対象となります。

5. 市場価格の目安

• 12代 永楽善五郎作（保存状態良好・共箱付き）：300万円〜600万円


• 13代 永楽善五郎作（銀箔剥離なし・色彩鮮明）：150万円〜300万円


• 昭和期の交趾内銀 酒器揃（共箱あり）：80万円〜150万円


• 現代作家の復刻作品：50万円〜100万円

6. 現代における評価と需要

現代の骨董市場においても、永楽作の交趾内銀 酒器揃は高額取引が続いています。特に、日本の伝統技術と豪華な装飾性が融合した作品として、国内外の富裕層や茶道具コレクターの間で根強い人気を誇ります。また、中国や台湾の富裕層の間でも、日本の高級陶磁器への関心が高まっており、オークションや美術品展示会での出品が相次いでいます。

7. まとめ

永楽作の交趾内銀 酒器揃は、交趾焼の鮮やかな色彩と銀箔の豪華な装飾が融合した逸品であり、日本の伝統工芸品としても高く評価されています。製作年代や作家銘、保存状態が市場価値を決定する重要な要素であり、特に12代・13代 永楽善五郎作の作品は非常に高額で取引されることが多いです。現代においても、骨董市場やオークションでの需要は高まっており、今後もその価値はさらに上昇すると予測されます。