高麗御器茶碗 買取実績

高麗御器茶碗の骨董的価値と魅力

1. 高麗御器茶碗とは

高麗御器茶碗（こうらいごきちゃわん）は、朝鮮半島の高麗時代（918年〜1392年）に製作された陶磁器茶碗を指します。高麗時代は陶磁器文化が最も発展した時期であり、特に青磁技法が完成され、美術品としても高く評価されています。高麗御器茶碗は、その中でも皇族や貴族に向けて製作された特別な茶碗であり、独特の美しさと格式を備えています。

2. 高麗御器茶碗の特徴

（1）形状とデザイン

• 高麗御器茶碗は、丸みを帯びた形状が特徴で、手に馴染むように作られている。


• 高台は比較的小さく、胴部は緩やかな曲線を描き、優雅な佇まいを見せる。


• 茶碗の内外には繊細な象嵌技法が施され、花鳥文や幾何学模様が描かれることが多い。

（2）釉薬の美しさ

高麗御器茶碗の最大の魅力は、その青磁釉薬にあります。高麗青磁は「翡色（ひいろ）」と称される、淡く青みがかった緑色が特徴で、透明感がありながらも深みのある発色を見せます。青磁釉は酸化焼成によって生まれるため、窯ごとに異なる色調が楽しめることも骨董品としての魅力です。

（3）象嵌技法

• 高麗御器茶碗には、象嵌（ぞうがん）技法が施されることが多い。


• 象嵌とは、器の表面に彫刻を施し、その彫り込み部分に白や黒の粘土を埋め込んで焼成する技法。


• 花鳥、蓮華文、雲紋、鶴などの吉祥文様が多く用いられ、その繊細なデザインが高麗青磁の魅力を引き立てている。

3. 骨董市場における価値

（1）製作年代と評価

高麗御器茶碗は、高麗時代の前期（10世紀〜11世紀）と中期（12世紀〜13世紀）に制作されたものが朝鮮美術品として最も評価が高いです。特に前期の作品は中国宋の青磁技法を取り入れつつも、独自の様式美を確立しており、美術品としての評価も極めて高いです。中期以降には象嵌技法が成熟し、現在でもその技術の高さが高く評価されています。

（2）真贋判定のポイント

高麗御器茶碗の真贋判定は、釉薬の質感、象嵌技法の精密さ、形状のバランスなどが重要なポイントとなります。特に青磁釉の発色が均一でありながらも深みが感じられるもの、象嵌部分が剥離せず綺麗に残っているものは高評価されます。また、高台の形状や焼き色も時代判定のポイントとなり、専門家の鑑定が必須です。

（3）保存状態の重要性

陶磁器の保存状態は市場価値に大きく影響します。特に高麗御器茶碗は、長期間の使用によって表面の釉薬が摩耗しているものが多く、釉薬の剥がれやひび割れがないものは希少です。象嵌部分の剥落がなく、釉薬の発色が美しいものは極めて高額で取引される傾向にあります。

4. 市場価格の目安

• 10世紀〜11世紀 高麗青磁茶碗（象嵌技法・保存状態良好）：1,000万円〜3,000万円


• 12世紀〜13世紀 高麗青磁象嵌茶碗：500万円〜1,500万円


• 14世紀〜15世紀 高麗青磁茶碗：200万円〜500万円


• 現代作家の復刻作品：30万円〜100万円

5. 現代における評価と需要

現代においても、高麗御器茶碗は日本国内外で高く評価されています。特に茶道具としての需要が高く、そのシンプルで洗練されたデザインは現代のインテリアにも調和しやすいことから、茶室の設えとしても人気があります。また、韓国の文化財としての価値が再評価されており、韓国内外のオークションでも高麗御器茶碗は高額で取引されています。

さらに、日本の茶道文化と密接に関わりがあり、茶人たちの間でも高麗御器茶碗の持つ歴史的価値が見直されています。今後もその評価はさらに高まることが予想されます。

6. まとめ

高麗御器茶碗は、朝鮮半島の高麗時代に製作された青磁茶碗であり、その優雅な造形美と象嵌技法が特徴です。製作年代や象嵌技法の完成度、釉薬の発色が市場価値を決定する重要な要素であり、特に10世紀から13世紀にかけての初期の作品は極めて高額で取引されることが多いです。現代においても、その伝統美と洗練されたデザインは依然として高く評価されており、韓国内外のコレクターや茶人たちの間で人気が高まっています。