版画葛飾北斎 富嶽三十六景 手摺木版四十六枚 買取実績

版画 葛飾北斎 富嶽三十六景 手摺木版四十六枚の骨董的価値と魅力

1. 葛飾北斎と富嶽三十六景とは

葛飾北斎（1760年～1849年）は、江戸時代の浮世絵師であり、日本を代表する芸術家の一人です。彼の代表作である「富嶽三十六景（ふがくさんじゅうろっけい）」は、江戸時代後期に制作された全46枚の連作浮世絵で、富士山を中心にした景観を独自の構図と色彩で表現しています。

当初は36枚で構成されていましたが、その人気の高さから追加で10枚が制作され、最終的には全46枚となりました。この手摺木版は、当時の技法を忠実に再現して制作されたものであり、美術的にも骨董的にも高い価値を持ちます。

2. 手摺木版の特徴と魅力

（1）手摺木版の技術

• 手摺木版は、江戸時代の伝統的な版画技法であり、版木に彫刻を施し、一枚一枚丁寧に摺られる。


• 絵師（デザイン）、彫師（彫刻）、摺師（摺り）の三者が分業で制作を行う。


• 色の重ね摺りやぼかし技法など、繊細な技術が駆使され、現代の印刷技術では再現不可能な質感と風合いが魅力。

（2）富嶽三十六景の代表的な図柄

• 「神奈川沖浪裏」：巨大な波の中に富士山が小さく描かれた北斎の代表作。


• 「山下白雨」：雷鳴とともに急な雨が降る富士山の風景。


• 「凱風快晴」：赤富士の大胆な構図が特徴。


• 「武州玉川」：川辺に佇む人々と遠くに見える富士山を描く。

3. 骨董市場における価値

（1）制作年代と評価

富嶽三十六景の手摺木版は、江戸時代の初摺版から現代の再摺版まで様々なバージョンが存在します。初摺版は極めて希少であり、美術館やコレクターが所蔵していることが多いです。市場に出回るものの多くは明治以降の再摺版であり、それでも保存状態が良ければ数百万円以上の価値がつくこともあります。

（2）全46枚セットの希少性

富嶽三十六景の全46枚セットが揃っているものは極めて希少です。通常、時間の経過とともに一部が散逸してしまうため、全てが揃った状態で保存されているものは希少価値が高まります。特に、共箱や証明書が付属している場合、その信頼性と価値はさらに上がります。

（3）保存状態の重要性

手摺木版の評価において最も重要なのは保存状態です。紙の黄ばみ、虫食い、色褪せ、カビなどが見られる場合は評価が下がります。反対に、色鮮やかで紙質の良好な作品は高額で取引される傾向があります。また、額装されているものよりも未額装で原状態のまま保存されているものの方が評価が高いです。

4. 市場価格の目安

• 初摺版 富嶽三十六景（全46枚セット・保存状態極上）：1,000万円～3,000万円


• 明治期再摺版（保存状態良好）：300万円～600万円


• 昭和期再摺版（共箱付き）：150万円～300万円


• 現代再摺版：50万円～150万円

5. 現代における評価と需要

葛飾北斎の「富嶽三十六景」は、現代でもその人気は衰えず、国内外のオークションで高額落札が相次いでいます。特に海外市場においては、日本の伝統美術としての価値が再評価されており、保存状態の良い手摺木版は海外コレクターの間でも高値で取引されています。さらに、北斎の生誕地である東京墨田区では、現代の版画師による再摺プロジェクトも行われており、伝統技術の継承にも力を入れています。

6. まとめ

葛飾北斎の「富嶽三十六景」は、江戸時代の浮世絵版画の最高傑作として世界的に高い評価を受けています。手摺木版は、その繊細な技術と色彩の美しさが際立っており、特に全46枚が揃ったセットは極めて希少です。制作年代、保存状態、共箱の有無、証明書の有無が価格を決定する要素となり、特に江戸期初摺版の作品は骨董市場で数千万円の価値がつくこともあります。現代においても、その芸術的価値と文化的意義が見直され続けており、北斎の作品は今後も注目され続けるでしょう。