乾隆年製　辰砂花瓶 買取実績

乾隆年製 辰砂花瓶の骨董的価値と魅力

1. 乾隆年製とは

乾隆年製（けんりゅうねんせい）とは、中国清朝の第6代皇帝・乾隆帝（1736年〜1795年）の治世に制作された中国陶磁器を指します。乾隆帝の時代は中国陶磁器の黄金期とされ、景徳鎮窯では高度な技術を駆使した作品が数多く製作されました。乾隆年製の陶磁器はその華麗なデザインと精巧な技術から、現代の骨董市場でも極めて高額で取引されることが多いです。

2. 辰砂花瓶の特徴と技法

（1）辰砂釉の魅力

辰砂（しんしゃ）は、酸化銅を主成分とした赤釉で、深紅色から紫紅色の美しい発色が特徴です。乾隆時代にはこの辰砂釉の技術がさらに発展し、より鮮やかで均一な発色が可能となりました。辰砂釉は焼成過程で酸素量の調整が極めて難しく、発色が安定しないため、その成功例は限られたものしか残されていません。

（2）形状と意匠

• 乾隆年製の辰砂花瓶は、優美な曲線を描く鶴首形や、胴がふっくらとした壺形が多い。


• 表面には辰砂釉が均一に施され、深紅の釉薬の中に控えめな銀色の斑点が浮かぶことがある。


• 底部には「大清乾隆年製」の青花銘が入っていることが一般的で、これが真贋判定の重要なポイントとなる。

3. 骨董市場における価値

（1）製作年代と評価

乾隆年製の辰砂花瓶は、制作年代によって評価が大きく異なります。乾隆初期の作品は、康熙年間の技術を引き継ぎつつも、新たな色釉技法を開発しており、その技術的完成度の高さから骨董市場で極めて高く評価されています。特に、乾隆帝の御用窯で製作された作品は、その希少性から数千万円以上の価格がつくことも珍しくありません。

（2）真贋判定のポイント

乾隆年製の辰砂花瓶の真贋を見極めるポイントは、以下の通りです。

• 底部の青花銘の字体：乾隆年間の銘は、筆致が非常に洗練されており、均整の取れた書体が特徴。


• 釉薬の発色：辰砂釉の発色が均一であり、赤みの中に微妙な銀色の斑点が見られるものはオリジナルの可能性が高い。


• 器形：乾隆時代の花瓶は、優美なラインとバランスの取れたフォルムが特徴で、不自然な形状や歪みがあるものは模倣品の可能性が高い。

（3）保存状態の影響

乾隆年製の辰砂花瓶は、保存状態が市場価値を大きく左右します。以下の点がチェックポイントとなります：

• 釉薬の剥離：辰砂釉は非常に繊細であり、経年劣化により釉薬が剥がれることがある。


• ひび割れ：微細な貫入が見られることはあるが、大きなひび割れや欠けがある場合は評価が下がる。


• 青花銘の擦れ：底銘の文字が鮮明であることは重要な評価ポイント。

4. 市場価格の目安

• 乾隆初期 辰砂花瓶（保存状態良好・共箱付き）：3,000万円〜6,000万円


• 乾隆中期の作品：1,500万円〜3,000万円


• 乾隆末期の作品：800万円〜1,500万円


• 現代作家による復刻作品：50万円〜150万円

5. 現代における評価と需要

現代の骨董市場においても、乾隆年製の辰砂花瓶は依然として高額取引が行われています。特に、中国国内の富裕層や海外のコレクターの間で乾隆期の陶磁器は人気が高く、オークションでも高額落札される傾向があります。2020年代以降、中国美術品の市場がさらに活況を呈しており、乾隆年製の陶磁器の需要は増加傾向にあります。

さらに、乾隆帝時代の文化財は、中国政府の文化復興政策の一環としても注目されており、美術館や博物館への寄贈や展示が増加しています。そのため、今後も市場価格の上昇が見込まれます。

6. まとめ

乾隆年製の辰砂花瓶は、清朝時代の最高峰の技術と美学が結集した作品として、美術品としての価値が非常に高いです。製作年代、釉薬の発色、器形のバランス、底銘の字体などが評価のポイントとなり、特に初期の作品は市場で極めて高額取引されることが多いです。現代においてもその評価は衰えず、中国美術市場の成長に伴い、乾隆年製の陶磁器の価格はさらに上昇することが予測されます。