初期伊万里　富貴長春染付　蛸唐草　5枚 買取実績

初期伊万里 富貴長春染付 蛸唐草 5枚の骨董的価値と魅力

1. 初期伊万里とは

（1）日本初の磁器産地

初期伊万里は、17世紀初頭に日本の肥前有田で誕生した磁器の総称です。初期伊万里の作品は、手作業による素朴な造形と藍色の染付が特徴であり、中国の景徳鎮窯の影響を色濃く受けています。

（2）蛸唐草の意匠

蛸唐草（たこからくさ）は、唐草模様が渦巻き状に描かれたデザインで、初期伊万里の染付皿に多く見られる装飾です。渦巻きの形状が蛸の足に似ていることからその名がつけられました。

2. 富貴長春染付 蛸唐草 5枚の特徴

（1）造形と意匠

• 皿の縁には蛸唐草の渦巻き模様が細かく描かれている。


• 中央には「富貴長春」の文字があり、長寿と繁栄の願いが込められている。


• 染付の藍色は鮮やかで、藍の濃淡を巧みに使い分けて立体感を表現している。

（2）美術的価値と用途

富貴長春染付 蛸唐草の皿は、食器としての実用性に加え、装飾品としての美術的価値も持ち合わせています。茶室の飾り皿や来客用の食器として用いられ、江戸期の庶民文化にも広く浸透しました。

3. 製作技法と素材

（1）染付技法

初期伊万里の染付技法は、中国景徳鎮から伝来した技術を基にしており、呉須（ごす）と呼ばれる藍色の顔料が使用されています。絵付けは手作業で行われ、繊細な筆致が特徴です。

（2）釉薬の特性

初期伊万里の釉薬は、やや乳白色がかった透明釉が用いられており、素地の鉄分が浮き出ることが多く見られます。これが「蝦夷斑（えぞまだら）」と呼ばれる独特の風合いを生み出しています。

4. 骨董市場での価値

（1）制作年代と出自

初期伊万里の作品は、17世紀前半から18世紀初頭にかけて制作されたものが最も価値が高く、保存状態が良好なものは1枚で数十万円から数百万円の価値がつくこともあります。

（2）サインや刻印の有無

初期伊万里の作品には、作家のサインや窯元の印が施されていないものが多いですが、文字や紋様の配置、絵付けのタッチから製作年代や窯元が特定されることがあります。

（3）保存状態

皿の欠けやヒビ、貫入（かんにゅう）などがなく、絵付けの発色が良好なものが高評価されます。特に蛸唐草の細密な描写が損なわれていないことが市場評価のポイントです。

5. 現代における評価

（1）美術館やギャラリーでの展示

初期伊万里の富貴長春染付 蛸唐草の皿は、日本の磁器産業の黎明期を物語る貴重な作品として、美術館やギャラリーにも収蔵されています。

（2）コレクター市場での需要

国内外の骨董市場では、保存状態が良好な初期伊万里の染付皿は非常に高額で取引されることが多く、特に蛸唐草や富貴長春の文字が鮮明に残っているものは希少価値が高まります。

6. まとめ

初期伊万里 富貴長春染付 蛸唐草 5枚は、日本の磁器産業の発展を象徴する逸品であり、17世紀初頭の製作技術が凝縮された美術工芸品です。保存状態や絵付けの鮮明さによって市場価値が大きく変動し、今後もコレクター市場での需要が期待される作品です。