十代三和休雪　萩茶碗 買取実績

十代三和休雪 萩茶碗の骨董的価値と魅力

1. 三和休雪とは

三和休雪（さんわ きゅうせつ）は、萩焼の名門である三和家に代々受け継がれる陶芸家の称号です。初代から始まり、現在に至るまで続く一族であり、特に十代三和休雪（1927年〜2005年）はその技術をさらに発展させた名匠として知られています。彼は日本陶芸界においても高い評価を受けており、伝統的な萩焼の技法を受け継ぎながらも、新しい美意識を取り入れた作品を多く残しました。

2. 萩焼の歴史と特徴

（1）萩焼の起源

萩焼（はぎやき）は、16世紀末に朝鮮半島から渡来した陶工が山口県萩市で始めた焼き物であり、茶道具として広く愛用されました。茶の湯の文化と共に発展し、柔らかな白色の釉薬と素朴な風合いが特徴です。萩焼は「一楽、二萩、三唐津」とも称され、茶人たちからも高い評価を受けてきました。

（2）萩焼の特徴

• 柔らかい土の質感：土の中に含まれる微細な気泡が生む独特の温かみ。


• 貫入（かんにゅう）：焼成後に釉薬が収縮して生じる細かなひび模様。


• 七化け：使用するごとに釉薬の色合いが変化し、味わい深さが増していく。

3. 十代三和休雪の萩茶碗の特徴

（1）造形と形状

十代三和休雪の萩茶碗は、伝統的な茶碗の形状を基礎としつつも、やや厚手で力強いフォルムが特徴です。茶碗の口縁には自然な歪みがあり、その不均一さが手作りの温かみを強調しています。また、茶碗の高台部分にも細かな彫刻が施されており、作家の手の跡が感じられる逸品です。

（2）釉薬と色彩

• 白萩釉：淡い乳白色の釉薬が施され、貫入によって徐々に色合いが変化する。


• 桜色の色合い：焼成温度や土の成分により、ピンクがかった色調が現れることがあり「萩の七化け」として評価される。

（3）作家銘と印

十代三和休雪の作品には、「休雪」の銘が高台や共箱に記されています。共箱には作家の署名や印が施されており、真贋判定の重要な要素となります。また、共箱の状態が良好であれば、作品の市場価値はさらに高まります。

4. 骨董市場における価値

（1）製作年代と評価

十代三和休雪の萩茶碗は、その製作年代や保存状態によって市場価値が大きく変動します。昭和中期から平成初期にかけて制作された作品は、特に円熟味があり、茶道具コレクターの間で高い人気を誇ります。保存状態が良好で、共箱が揃っている場合、数十万円から数百万円で取引されることも少なくありません。

（2）真贋判定のポイント

• 高台の銘：高台に「休雪」の銘が鮮明に刻まれているか。


• 貫入の状態：貫入が自然であり、過度な修復が施されていないか。


• 釉薬の色合い：萩の七化けが美しく現れているか。

（3）保存状態の重要性

萩焼は土が柔らかいため、欠けやヒビが発生しやすい点が特徴です。保存状態が良好で、貫入のひび割れが美しく残っているものは市場価値が高まります。逆に、過度な修復が施されている場合は評価が下がる傾向があります。

5. 市場価格の目安

• 昭和中期の萩茶碗（共箱付き・保存状態良好）：100万円〜300万円


• 晩年期の作品（桜色の七化け・貫入が美しいもの）：200万円〜500万円


• 現代の復刻作品：50万円〜100万円

6. 現代における評価と需要

現代の骨董市場においても、十代三和休雪の萩茶碗は依然として高い人気を誇ります。特に中国や台湾の富裕層の間で「萩の七化け」の美しさが評価されており、オークション市場でも高額落札が相次いでいます。また、日本国内でも茶道具としての実用性と芸術性が兼ね備わった作品として、茶人や陶芸愛好家の間で需要が増加しています。

7. まとめ

十代三和休雪の萩茶碗は、伝統的な萩焼の技法を基礎にしつつも、現代的な感覚を取り入れた逸品です。特に「萩の七化け」と呼ばれる釉薬の変化や、貫入の美しさが評価されており、製作年代や保存状態、共箱の有無が市場価値を大きく左右します。現代においても、茶道具としての実用性と美術品としての価値が高く評価されており、今後もその需要と価値はさらに上昇することが期待されます。