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「白玉(はくぎょく)」とは、翡翠や軟玉とは異なる一種のネフライトを主成分とする半透明の白色石で、中国において古くから珍重されてきた高級石材です。白玉は清潔感ある純白、もしくは淡い乳白色を呈し、硬度と粘りを兼ね備えるため、細密な彫刻や研磨が可能なことが特徴です。古代中国においては「玉は君子の徳を表す」とされ、玉器の中でも白玉は特に高貴な存在とされました。
香炉は、香木や香料を焚いて芳香を放つための器具であり、宗教儀礼や文人趣味、また室内装飾の一環として中国をはじめ日本・朝鮮においても広く用いられてきました。白玉製の香炉は非常に贅沢なものであり、王侯貴族や文人の書斎、仏堂など限られた空間で使用され、観賞用としての性格も強い逸品です。
白玉香炉には主に以下のような形状があります:
白玉の彫刻は極めて精緻であり、表面に龍、鳳凰、花鳥文、雲気文、仏教図像などが透かし彫りや浮彫りで施されることがあります。蓋付きの香炉には通気孔を兼ねた美しい透かし彫りが見られ、香がたかれると柔らかな煙が浮かび上がる演出効果も考慮されています。
白玉香炉の制作は清朝中期(乾隆年間)に特に盛んになり、宮廷御用品として高品質な香炉が多数作られました。北京や揚州などの玉工房が中心となり、皇帝のために作られた「宮廷玉器」は、現在でも世界中の博物館に所蔵されています。
現代の白玉香炉には機械加工による複製品も多く、鑑定眼を要します。古作との違いは石の質感、彫りの深さ、経年による艶(いわゆる“玉化”)などに現れます。
白玉香炉の価値は、まず素材となる玉の質に左右されます。色ムラがなく、均質で艶があるものが上質とされ、細かなひびや亀裂がないことも重要です。天然の白玉であっても、不純物が多いものや経年劣化の進んだものは評価が下がります。
細部まで丁寧に彫り込まれた作品は、美術工芸品としての価値が高くなります。特に浮彫や透かし彫りの技術が高度なもの、象嵌や金属との複合素材が施されているものは希少価値があります。
刻印、箱書き、旧蔵家の来歴、鑑定書などが付属する場合、真贋判定と市場評価がしやすくなります。特に清朝乾隆年間の作と認定されたものは、市場でも数百万円以上の値がつくことがあります。
白玉香炉は中国美術市場において今なお高い需要があります。特にアジアの富裕層や美術館による収集が盛んで、オークションでも高額落札が相次いでいます。保存にあたっては直射日光・高温・乾燥を避け、柔らかい布で定期的に乾拭きすることで玉肌の美しさを維持できます。
白玉香炉は、素材の希少性と高度な工芸技術、さらに文化的背景が融合した逸品であり、骨董品として極めて高い価値を有しています。古代から現代まで続く玉文化の象徴として、今後もその美しさと歴史的意義が評価され続けることは間違いありません。
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