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秦蔵六(はた・ぞうろく)は江戸時代末期から続く京都の鋳金家系で、代々「蔵六」を襲名し蝋型鋳造を基盤にした青銅器や香炉で知られます。塗金や金鍍金を施した香炉は煎茶具や床飾として愛用され、骨董市場でも流通量が多い作家群です。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
初代以来の家業は鋳金技法の伝承と改良を続け、明治期には公式用印や宮廷向け工藝を手掛けた記録も残ります。現代に至る複数代による作例は作風の変遷を読み取れるため、系譜は鑑定上の重要な参考資料となります。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
秦蔵六の香炉は青銅の鋳造を基本に、塗金(ときん)や金鍍金、漆的仕上げを併用する例が多い。蝋型(ろうがた)鋳造により細密な文様表現や透かし彫りが可能で、意匠の複雑な瑞雲文や唐草を立体的に表すことが得意です。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
代表的な意匠としては瑞雲・鳳凰・龍・唐子・花鳥・海獣文などがあり、三足香炉・堤手付香炉・蓋物形など形式も多彩です。表面処理により古色を再現した「古色仕上げ」や斑紋を活かした景色づくりも見所です。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
鑑定では底裏や内底の銘印、彫り込みの「蔵六」銘・代印、箱書・共箱の有無を必ず確認します。来歴(旧蔵・購入票・箱書)は真贋と評価を左右し、共箱がある個体は市場評価が安定します。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
作行きを見る際は鋳肌(湯流れ・湯道跡)の自然さ、金属の経年変化(古色・銀化・硫化)、塗金の擦れ具合、後補や再鍍金の痕跡を確認します。蝋型鋳造ならではの微細なロウ痕の再現性や彫刻の切れ味は本物の判断に有効です。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
青銅・鍍金は酸性環境や多湿に弱く、錆や腐食、金鍍の剥落を招きます。展示は湿度管理と直接手指の触れを避けること、汚れは乾いた柔らかい布や馬毛筆で軽く払うのが基本です。強い洗浄や研磨は史料価値を損ないます。
欠損・補填・再鍍金は評価に影響します。修復は可逆性を重視し、修復履歴を明示すること。特に塗金面の部分的再塗装や後補金具の取替えは市場価値を下げるため、専門保存修復士の判断が必要です。
秦蔵六銘の香炉は形状・時代・保存状態で価格差が大きく、最近のオークションや業者流通では数千円〜数十万円台での落札例が見られます。付属する箱書や保存状態が良ければ高額になりやすい傾向です。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
側光で鋳肌と文様の陰影を出すと意匠の深さが伝わりやすいです。蓋の収まり、三足の安定感、堤手や摘みの金属結合部の仕上げを見せる展示は来歴説明と相性が良く、購入希望者への訴求力が高まります。
売却・査定時は底裏の銘、箱書・共箱、寸法・重量、損傷箇所の写真を揃えて提示してください。近年は偽刻や後補が散見されるため、疑わしい場合は鋳金専門の鑑定士に実見を依頼することを推奨します。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
秦蔵六の塗金銅香炉は鋳金技術と意匠表現が結実した工芸骨董です。系譜・銘・箱書・鋳肌・塗金の経年景を総合して評価することで真贋と市場価値を見極められます。適切な保存と来歴の提示が、次世代へ文化的価値を伝える鍵となります。
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