Menu
菊模様の鍔(つば)は、日本刀の鍔装具のひとつで、刀身と柄(つか)の間に取り付けられる金属製の防御具兼装飾品です。菊は古来より天皇家の紋章や吉祥文様として用いられ、日本の伝統美を象徴します。菊模様を主題に据えた鍔は、武具としての実用性に加え、細密な彫金技術や意匠性が評価され、骨董品市場では高い人気と価値を誇ります。
鍔の起源は室町時代初期とされ、戦国時代には武士の防具として欠かせない装備となりました。江戸時代に入ると武家礼装の一部として装飾性が重視されるようになり、鍔師たちが金工や鋳金、赤銅象嵌など多様な技法を駆使して意匠を競いました。菊模様は元来、皇室の紋章や神社仏閣の装飾にも使われ、武具に取り入れることで権威や格式を示す意図がありました。
菊模様鍔の素材には鉄、赤銅、無銘鉄に金銀象嵌を施したものなどがあります。代表的な技法としては以下のとおりです。
菊模様鍔のデザインには、以下のようなバリエーションがあります。
菊模様鍔は、無銘鉄鍔の素朴な作例で20万~50万円、赤銅象嵌や金鍍金を施した江戸期上作は100万~300万円が相場です。有名鍔師の銘品や保存良好な透かし彫り作品は500万~1,000万円以上の高額となる場合があります。
鉄鍔は湿度変化と酸性大気に弱いため、室温20℃前後、湿度40~60%の安定環境で保管。埃は柔らかな刷毛で軽く払い、化学薬品や研磨剤は使用せず、錆止め油を薄く塗布して金属を保護します。象嵌部の金銀は研磨せず自然の輝きを残すことが望ましいです。
菊模様の鍔は、素材・技法・彫金・象嵌・保存・来歴の六要素が揃うことで真の骨董的価値を発揮します。菊の持つ吉祥性と鍔師の技巧が融合した逸品として、武具コレクターや日本美術愛好家から今後も高い評価を受け続けることでしょう。
鑑定のご相談、
お待ちしております!
多くの士業関係の方からも御依頼を頂いております。お気軽にご相談ください。