400年にわたる大西家の歴史
大西家は室町時代に始まり、そこから400年以上続く歴史ある家系で、当主が大西清右衛門を襲名しています。家祖は山城国の南山城広瀬村出身で、初代浄林が京へ上洛した後、三条釜座の座人になったのが始まりです。上洛の際に伴ってきた弟2人のうち2代目を継いだ浄清が、釜師として大西家を確立したと言われています。
長い歴史の中で、初めて大西清右衛門を名乗ったのは、4代目当主である浄頓です。6代目の浄元以降、9代目以外はすべて大西清右衛門を襲名し、その名は現在も受け継がれ続けています。
大西清右衛門は茶道の流派である表千家と裏千家、そして武者小路千家、この三千家に出入りする茶道具の職人である千家十職の釜師で、6代目から千家の出入りとなっています。武家茶人のための茶の湯釜を初代浄林が手掛けて以来、その伝統と技は代々受け継がれています。平安期から鋳物町として賑わっていたとされるエリア、京都の三条通の釜座にある工房で、現在も茶の湯釜の制作は続いています。
工房の隣には大西清右衛門美術館が建てられています。大西家歴代の茶の湯釜はもちろん、歴代が使用した制作道具である釜の下絵や木型、釜座に関する古文書の展示があります。その他にも所蔵する800点にもなるさまざまな茶道具が、折々の企画テーマに沿った内容で公開されます。茶の湯釜に親しめるような茶会や鑑賞会などのイベントも開催し、多くの人がその魅力に触れられるような工夫がなされています。
大西家当主の手掛けた歴代茶の湯釜の魅力
大西清右衛門の作品は、大西家初代の浄林から受け継がれてきた伝統と技に歴代の新たな試みが加えられ、作り上げられてきたと言えるでしょう。調和が重んじられる茶の世界では、釜といえど使いやすさと精巧さ、そして雅さが必要です。一見地味でどちらかというと重厚感や威圧感を持つ人が多い茶の湯釜を美術品の域まで高めたのは、その腕は歴代随一の名人とうたわれた二代目浄清の作品、鶴ノ釜だと言われています。
6代目の代表作は、「如心斎文字入り尻張釜」や「紫野尻張釜」です。7代目は、気品のある作風で唐銅焼抜蓋に優れ、2代目浄清に継ぐ名手と言われると同時に、大西家中興の祖と呼ばれています。代表作は、「累座釜」や「亀甲釜」です。大西家で一番多くの作品を作ったのは10代目で、「鶴首釜」や「筋万字釜」、「桜川釜」が知られています。ほかにも、「名物釜由緒聞伝控」や「釜の図」八巻などを編纂し記録を残しています。
12代目は「兜形瓶」が代表作ですが、20代という若さで亡くなったため作品数は多くありません。13代目や14代目もそれぞれ代表作が複数あり、15代目は京釜についての執筆でたくさんの論文を残しています。
15代目の長男である16代目当主も、大西清右衛門を襲名した10年後の2003年、また2006年に京都市芸術新人賞や京都府文化賞奨励賞を受賞するなど着々と功績を積んでいます。また、芦屋釜についての研究を始め、秘法である挽中子技法を再現するなど、活躍の場を広げています。
買取価格を左右するポイント
茶道に触れていないとあまり耳にすることのない名前ですが、茶道の世界で茶の湯釜と言えば大西清右衛門とされるほどの認知度です。各代の作品は骨董品として充分な価値がありますが、特に古い代の大西清右衛門作品は、古美術商で高額な取引が行われることもあります。
また、歴代の大西清右衛門はその優れた鑑識眼から、日本の有名な茶の湯釜の鑑定もしています。そのため、そういった識箱が存在する作品も、買取の対象として価値が高いものになる可能性があります。
そのためにも、お手入れの不備で生じる錆びや水漏れ、破損などがないように、慎重に保管することが大切です。鉄味や使用の具合によっても価格は動きます。もし現段階で傷や錆び、気になる点がある場合は、むやみに手入れなどしないようにします。できるだけ早く確かな経験と知識、実績を持つ古美術商に相談することをおすすめします。買取を希望するなら、ホームページなどにしっかり目を通し、実績だけではなくお店の理念なども知った上で、おまかせするお店を厳選しましょう。
その有無が買取価格に影響すると言われる作家自身の箱書がある共箱は、表に作品名、裏に作者の名が記されているのが一般的です。その作品が本物かどうかを判断する大きなポイントとなります。大西清右衛門の共箱には、清右衛門という名前のほかにも、三右衛門など実際の名前、佐兵衛などの通称、隠居後につけられる名前である浄元や浄雪など多くの種類があります。
そして印も奥平、大西など使い分けされています。これらの共箱があるかないかで、作品の価値も大きく左右されますので、作品同様に状態を管理することが重要です。その他に、鑑定書などがあるとさらに良いとされています。すべてを最善の状態で揃えて、信頼のできる古美術商に鑑定を依頼しましょう。
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