山崎朝雲
やまざき ちょううん

1867年(慶応3年)-1954年(昭和29年)
日本の彫刻家

山崎朝雲は日本の近代彫刻において、西洋彫刻から技術を取り入れて基礎を作り、それまで日本にはなかった写実性を木彫に応用した彫刻家です。

高村光雲に師事し、当時衰えかけていた木彫刻に勢いを与え、新しい彫刻様式を生み出しました。
その功績が評価され、1952年に文化功労者の称号を与えられました。
山崎朝雲の代表作には『大葉子』や『龗(たかおかみ)』があり、『大葉子』は第2回文展に、『龗』は第5回文展に出品しています。

生涯にわたって、数多くの作品を世に送り出した山崎朝雲。
日本の木彫刻を先導した彫刻家は、常に新しい技術を求め研究し続ける生真面目な人物でした。

山崎朝雲の生い立ちと作品の特徴


山崎朝雲は、1867年に現在の福岡県福岡市博多区冷泉町に生まれました。
幼名は「春吉」といい、博多の仏師「高田又四郎」のもとで修業をつみます。

仏師とは、仏像を専門に制作や修理を行う彫刻家のことです。
高田又四郎は博多聖福寺の羅漢像など、多くの彫刻作品を生み出しました。
江戸時代に仏師「佐田文蔵」が制作した『十八羅漢像』が幕末に焼失したことを受け、弟子である高田又四郎は羅漢像を再建しようと試みます。

しかし、二躯を制作したところで又四郎は死去。あとを継いだ山崎朝雲が十六羅漢像として完成させました。
十六羅漢像は、のちに福岡市指定有形文化財に指定されています。
二十代になると山崎朝雲は京都に出て、作品を作っては博覧会や展示会に出品します。

転機は1895年、第4回内国勧業博覧会に出品した『養老孝子』が妙技3等賞を受賞したこと。この『養老孝子』が、高村光雲の目にとまることとなります。
高村光雲に認められた山崎朝雲は、上京して光雲に師事します。

その卓越した木彫技術を活かし、数々の作品を出品。
上京からわずか2年後の1898年、東京彫工会・日本美術協会の審査員になります。

1900年には日本美術協会の幹事に就任。
その後も制作する作品が次々と入賞を果たし、その多くが宮内省に買い上げられるほどの腕前でした。
その技術を見込まれ、福岡市東公園に『亀山上皇』の銅像を建設しています。
しかし当時は西洋彫刻が流行りで、伝統的な日本の木彫は衰える一方でした。
それを危惧した山崎朝雲は、1907年に同門の門弟である平櫛田中や米原雲海らと日本彫刻会を結成します。

先進的な技術を取り入れつつ、日本の木彫を守っていこうという心の表れでした。
山崎朝雲の作品の特徴は、西洋彫刻の写実性を取り入れたそれまで日本になかった木彫の技術です。

石膏を原型として大理石彫刻を制作する西洋彫刻の技法を、木彫に応用しました。
西洋彫刻の技術を研究したことで、それまでの日本の伝統的な木彫技術では実現しえない写実性を表現できるようになったのです。

実は、山崎朝雲の作品は西洋彫刻の技法を取り入れただけではありません。
西洋彫刻の技術に、さらに日本の伝統的な木彫技術も残したのです。
日本の美術を世界に発信した岡倉天心の存在が、朝雲に大きく影響を与えたと言われています。

山崎朝雲の作品


山崎朝雲の代表作には、『大葉子』や『龗』、福岡市東公園の『亀山上皇像』などが挙げられます。
非常に多くの作品を制作しており、ここでは紹介しきれません。ほんの一部ですが、朝雲の代表作ともいえる作品をご紹介します。

『大葉子』は、朝雲が1907年に伝統的な木彫を復興させようと日本彫刻会を発足させたあとに制作された作品です。
流れるような衣紋のリアルさが目を惹くのが特徴。現在は、東京国立近代美術館に所蔵されています。

『龗』も東京国立近代美術館に所蔵されており、その美しさを今も見ることができます。
1911年に制作された木彫作品で、こちらも衣紋のしわや流れが細かく描写された作品です。

『賀茂競馬置物』も山崎朝雲の代表的な作人で、現在は宮内庁三の丸尚蔵館に所蔵されています。
馬の筋肉が隆々と表現され、今にも駆け出しそうな躍動感が特徴です。

山崎朝雲は木彫の近代化を図った功労者


山崎朝雲は仏師である高田又四郎や高村光雲のもとで師事し、生涯にわたって木彫を研究し続けた彫刻家です。
才能をいかんなく発揮し、近代彫刻を発展させた功績は大きく、文化功労者として認められたことからも朝雲の成しえた役割の大きさがうかがえます。

山崎朝雲の作品は、写実性の高い木彫技術が特徴です。
西洋彫刻の技術を応用し、日本彫刻の良さも織り交ぜた木彫が朝雲の持ち味と言えます。

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