裏千家十五代鵬雲斎
うらせんけじゅうごだいほううんさい

1923年(大正12年)-現在
鵬雲斎は、茶道三千家に数えられる裏千家家元の15代目である。鵬雲斎とは、茶道の道へ進むときに授けられる斎号で、本名は千政興。道号は、汎叟宗室。
2002年に長男・玄黙宗室へ家元を継承し、千玄室と称する。隠居後も茶道の普及に尽力し、茶道を世界へ広める活動をおこなっている。

鵬雲斎(ほううんさい)とは、茶道家元裏千家の十五代目です。道号は、汎叟宗室(はんそうそうしつ)で、現在は千玄室と称し、活躍しています。
茶人としての活躍だけでなく、茶道の普及を積極的におこなった人物でもあり、とくに海外への茶道普及に、大きく貢献しました。その活動の裏には、父である十四代裏千家家元・千宗室の影響があったと言われています。
ここでは、「日本の茶道が平和へとつながる」との思いで、世界へ茶道を広めた十五代裏千家家元・鵬雲斎の生い立ちと、その人物像に迫ります。

生い立ち


鵬雲斎は1923年、裏千家14代家元・碩叟宗室の長男として誕生しました。姉は茶道家の塩月弥栄子、弟は淡交社社長の納屋嘉治です。
1943年の学徒出陣に際し、鵬雲斎は海軍予備学生となって海軍に入隊。のちに航空隊に転属し、特別攻撃隊に自ら志願します。しかし、突入前に終戦を迎え、除隊して入隊前に修学していた同支社大学法経学部へ復学を果たしました。
終戦の翌年、1946年に大学を卒業し、1949年に京都大徳寺で得度して、斎号・鵬雲斎を授けられました。斎号とは、表千家・裏千家・武者小路千家の三千家の血筋が、得度して授かる号です。鵬雲斎の裏千家は、千利休の血筋にあたる、本家・表千家のある通りの裏にあったことから、「裏」千家と呼ばれるようになりました。
鵬雲斎がハワイ大学へ修学したのは、1950年のこと。戦争を経験した鵬雲斎は、茶道を国内だけでなく、世界へと広めることで平和を作りたいとの思いから、茶道の普及活動を始めるようになります。
そして1964年、十四代家元の父・碩叟宗室が亡くなり、鵬雲斎は十五代裏千家家元・千宗室を襲名しました。襲名後も国内外に向けて茶道普及の活動を続け、1980年に紫綬褒章、1989年には文化功労者の称号を授与されました。さらに、茶人では初めての文化勲章も授与されています。
勉強に対しても熱心で、1991年には哲学博士号を取得し、1993年に立命館大学の客員教授に任命されました。
2002年に鵬雲斎の長男・玄黙宗室へ家元を継承し、自身は退きます。しかしその後も、文学博士号取得や、ユネスコ親善大使への任命など、勉学・茶道普及に尽力しました。近年では、2020年にフランスのレジオンドヌール勲章・コマンドゥ―ル章を授与されています。

西村晃との出会い


テレビドラマ『水戸黄門』の水戸光圀役として有名な西村晃(にしむら こう)とは、鵬雲斎が海兵隊に所属していたときに出合ったといいます。そのあと、特攻攻撃隊でも同じ部隊に所属していました。
特攻作戦が近づくなか、鵬雲斎とともに配給品で茶会をしたと言われています。鵬雲斎の転属により、お互いの生死もわからぬまま終戦を迎えますが、1946年に偶然にも再開を果たしました。同隊で生き残ったのは、鵬雲斎と西村晃の2人だけだったと伝えられています。
再開後も交流は続き、西村晃が亡くなった際には、生前の約束から鵬雲斎が葬儀委員長を務めました。

父・十四代裏千家家元の影響


鵬雲斎の父・碩叟宗室(せきそうそうしつ)は、一般に淡々斎と呼ばれる茶人でした。裏千家十三代家元の長男で、裏千家の発展の基礎を作った人物です。

日本の茶道をもって、国際文化交流をおこなうことを目的とした、国際茶道文化協会を設立。国際茶道文化協会は、世界各国へ茶道を普及させるため、人材育成や茶道文化事業の支援をおこなっています。
「平和は文化を通してもたらされる」との考えから、戦後の茶道発展に貢献し、息子の鵬雲斎へも大きな影響を与えた人物として知られています。

息子・十六代裏千家家元に引き継がれた思い


現在、裏千家家元の家督を継いでいるのは、鵬雲斎の長男・玄黙宗室(げんもくそうしつ)です。1956年に生まれ、2002年に宗室の名を襲名。本名は政之といい、斎号は坐忘斎(ざぼうさい)です。
坐忘斎は、文筆家でもあり、十数冊もの随筆集を執筆しています。その多彩さから、茶道の家元らしからぬ幅広い活動をおこなっており、2019年に紫綬褒章を受章しました。
祖父と父の意思を継いでいて、今後も、茶道の普及活動が期待される人物です。

裏千家発展に大きな影響を与えた鵬雲斎


裏千家十五代・鵬雲斎は、十四代とともに茶道を、世界各国へ広めるのに尽力した茶人です。
第二次世界大戦の悲惨さを見て、茶文化を通して世界平和を実現させる取り組みをおこなっています。
その活動は、裏千家十六代・坐忘斎にも引き継がれ、これからの茶道文化の希望となっています。

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