狩野永徳
かのう えいとく

狩野永徳(かのう えいとく)とは、安土桃山時代の絵師です。

狩野派の代表ともいえる人物で、彼の作品は国宝や重要文化財に指定されています。

祖父は、狩野派2代目の狩野元信(かのう もとのぶ)。室町時代に狩野派を立ち上げた狩野正信の息子です。

狩野派とは日本絵画の中心的な画派で、室町時代中期から江戸時代末期に活動しました。時代の権力者と結びつき、幕府や将軍の絵師として活躍していました。

今回は、狩野派きっての天才絵師である狩野永徳の生い立ちと、作品の魅力を紹介します。

プロフィール


1543年(天文12年)-1590年(天正18年)
安土桃山時代に活動した狩野派の絵師。本名は源四郎という。
幼少期から絵の才能に溢れ、10歳で祖父の狩野元信を通して足利義輝に謁見した。後に、織田信長や豊臣秀吉などに仕え、城の障壁画を制作。
しかし、作品の多くは時代と共に消失してしまった。現存する作品の代表的なものには、『洛中洛外図』や『唐獅子図屏風』がある。京都にある大徳寺塔頭の聚光院(じゅこういん)障壁画は、国宝に指定されている。

父は狩野松栄、息子は狩野孝信。大徳寺の『山水図』を描いた狩野探幽(かのう たんゆう)は、永徳の孫に当たる。

生い立ち


狩野永徳は、狩野松栄の長男として1543年に京都で生まれました。狩野松栄は狩野派の3代目棟梁で、永徳は4代目に当たります。

祖父は狩野派2代目棟梁の狩野元信で、永徳が10歳のときに足利義輝に謁見させたと伝えられています。狩野永徳は幼い頃から画才があり、20代半ばで近衛前久(このえ さきひさ)宅の障壁画を制作しました。近衛前久は、近衛家17代当主の公卿です。

30代前半のとき織田信長に仕えるようになり、安土城の障壁画を制作。

さらに1583年には豊臣秀吉の下で大阪城の壁画、1586年には聚楽第の障壁画を完成させました。時代の権力者に重宝されるほどの画才の持ち主でした。

1589年になると、後陽成天皇の宮城の内裏にて障壁画を担当。内裏は御所とも呼び、天皇が私的に利用する区域のことです。
また1590年には、八条宮家の障壁画も描いています。八条宮家は桂宮家のことで、世襲親王家の1つでした。

しかし、同年に東福寺法堂の天井に龍図を制作中、47歳で死去。龍図の完成を見ることはありませんでした。

狩野派の流れと特徴


狩野派は、室町時代から江戸時代末期まで栄えた画派です。狩野家が中心となり、幕府や将軍に仕えて日本絵画に影響を与えました。

祖となったのは、室町幕府の御用絵師だった狩野正信です。狩野永徳の曽祖父に当たります。

2代目は狩野永徳の祖父、元信です。『四季花鳥図』や『禅宗祖師図』を残しています。

狩野永徳の孫は狩野探幽で、永徳の画才を継いで江戸時代の画界を先導した人物です。探幽は鍛冶橋家を作って本家と系統を分けるなど、江戸時代の中期以降は多くの系統が生まれました。

また、狩野永徳の後継者として期待されていた人物に、狩野山楽(かのう さんらく)がいます。

狩野山楽の父が狩野元信に日本画を習っていた縁で、山楽は永徳の養子として狩野家に入りました。代表的な作品に、国の重要文化財に指定されている『龍虎図屛風』があります。

狩野探幽らが江戸へ住まいを移した際、山楽らは京都に残ったことから京狩野となりました。

作品の特徴とその魅力


狩野永徳は、寺院や城の障壁画を多く制作しました。

代表作には、以下の作品があります。

・聚光院障壁画
・洛中洛外図
・唐獅子図屏風
・許由巣父図(きょゆうそうほず)
・伯夷叔斉図(はくいしゅくせいず)

上記以外には、京都・南禅寺の障壁画や『仙人高士図屛風』が国の重要文化財に指定されています。

聚光院障壁画や『洛中洛外図』は、重要文化財の中でも国宝に指定されている作品です。

残した作品は天井画や障壁画など、スケールの大きいものの多いことが特徴。大きな画材に迫力ある構図で描いていることが、狩野永徳の作品の魅力です。

しかし狩野永徳はスケールの大きい作品や大胆さだけでなく、細部にこだわった緻密な筆遣いも得意でした。

また、短期間で城や寺院の障壁画を制作しているにもかかわらず、その完成度は国宝級です。過労が祟ったのか、47歳の若さで亡くなりました。

日本絵画の巨匠・狩野永徳の功績


狩野永徳は、激動の時代にあった安土桃山で多くの城や寺院の障壁画を制作しました。

非常に短い期間で制作しているにもかかわらず、どの作品も永徳の技量が分かる出来栄えです。名だたる将軍が彼を起用したのにも頷けます。

狩野永徳が残したものは、作品だけではありません。狩野家は狩野派として、江戸時代末期まで日本画家の中心でした。狩野永徳の才を受け継いだ実子や才能ある養子を入れ、多数の門人を持つ画家集団へと成長しました。現代日本画界へも大きな影響を与えた人物です。

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