モーリス・ユトリロ
もーりす・ゆとりろ

アーティストの間でも、作風や創作への姿勢といった傾向や類似性を捉えて、ある種のグループとして分類することがあります。

「印象派」や「シュルレアリスム」などの言葉がイメージされますが、いわゆる画派ではない緩やかな総称も存在し、その一つに「エコール・ド・パリ」があります。

これは20世紀の前半にパリのモンマルトルからモンパルナスにかけて各地から集まってきた画家たちを指す呼び名で、厳密な定義があるわけではありません。

彼らには既成の観念に囚われない自由な生き方を志向した人物が多く、そのうちの一人が「モーリス・ユトリロ」です。

エコール・ド・パリの画家としては珍しい生粋のフランス人で、彼の描いた何気ない日常の風景は多くの人に愛されています。

本記事ではそんなモーリス・ユトリロのプロフィールや生い立ちを概観しつつ、作品と魅力をご紹介します。

プロフィール


1883年‐1955年
19世紀終わりから20世紀半ばにかけて活躍したフランス人画家。

若年からアルコール依存症に苦しみましたが、治療の一環として取り組んだ絵画でその才能が開花。
絵のモチーフはごく身近なパリの風景が多く、独特の静謐さと情感が高く評価されています。
ほぼ生涯を通じて、治療と並行しての創作活動であったことが知られています。

生い立ち


モーリス・ユトリロは1883年12月26日、パリ・モンマルトルのポトー街8番地で生まれました。

母のシュザンヌ・ヴァラドンも画家でしたが未婚での出産であり、モーリスが7歳の時にスペイン人画家のミゲル・ウトリリョが父親であることを認知したため、フランス語読みでのユトリロに改姓しています。

生まれつき身体が弱く情緒不安定な面があったユトリロは中学で問題を起こし、最高学年時に退学。

16歳の頃に臨時雇用の外交員として奉職しますが4ヵ月で退職。この頃からすでにユトリロはアルコール依存症を発症しており、治療の一環として水彩画に取り組むようになります。

ユトリロの絵は基本的に独学でしたが、当初は印象派独特の点描技法に影響を受けていたことは有名です。

1910年~14年頃のアルコール依存症治療と並行して作品群を制作した時期は「白の時代」と呼ばれ、ユトリロの画業のうち特に高い評価を受けています。

彼は入退院を繰り返しながら作品を生み出しましたが、白の時代に続く時期は「色彩の時代」と呼ばれ、明と暗が調和した作風から黒の輪郭線で幾何学的な表現へと変化。

その画業はフランス全土から高く評価され、1928年にはレジオンドヌール勲章を受章しています。

晩年に至るまでアルコールや病に由来する奇行や問題行動を度々起こしますが、1955年11月5日、71年の生涯を閉じました。

モーリス・ユトリロの家族


ユトリロの家族については母のシュザンヌ・ヴァラドンのことにフォーカスしてみましょう。

未婚でユトリロを出産したシュザンヌ自身も画家であり、裁縫の仕事をしながら創作活動を続けて息子を育てていました。

情熱的で恋多き女性であったことが知られており、幼いユトリロはほぼ祖母のマドレーヌのもとで育ったといいます。

書類上の父がスペイン人画家のミゲル・ウトリリョであることは先に述べましたが、シュザンヌは後に布地商のポール・ムージスと結婚。

しかし後に離婚し、ユトリロの2歳年下の友人だった画家のアンドレ・ユッテルと再婚。

シュザンヌは画家として高く評価された人物でしたがこうした奔放さはユトリロの人格形成に大きく影響したことが考えられ、彼の若年からのアルコール依存には祖母マドレーヌの酒好きも起因しているとされています。

シュザンヌの作品では力強いタッチの人物画に特徴があり、幼いユトリロを素描したものも多数残されています。

モーリス・ユトリロ作品の特徴とその魅力


ユトリロの作品では「城の時代」と呼ばれる時期の作品群が特に評価されていると前述しましたが、静的かつ抒情的なパリの日常の風景を好んで描いていたことが知られています。

淡く調和した色調の、ある種ノスタルジーを呼び起こすかのような作風が特徴と魅力の一つといえるでしょう。

題材には街角や寺院、建造物などユトリロが普段目にしていたであろう光景がピックアップされ、見る者に当時のパリを街歩きしているかのような共感覚を呼び起こします。

生涯アルコール依存症に苦しんだ彼でしたが、酒を愛してやまずお気に入りの酒場を描いた『ラパン・アジル』などはキャンバスごとに少しずつ変化をつけて何枚も描いています。

ユトリロという一人の人間が酔いと孤独の狭間で見上げた光景が、彼の目を通してキャンバスに現出する感覚に引き込まれていくかのようです。

「白」の画家、モーリス・ユトリロ


アルコール依存症を抱えながら創作を続けたユトリロですが、その中で描かれた「白の時代」の作品群が意外にも多くの人の心を捉えて離さないといわれます。

後期の印象派とキュビズムの特徴を融合させたとも評される風景画の画風確立は、歴史に残る偉業の一つといえるでしょう。
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