ジョルジュ・ルオー
じょるじゅ・るおー

絵画のモチーフには風景や人物はおろか、森羅万象あらゆるものが取り上げられます。

そのうち伝統的な題材として「宗教画」があり、さまざまなシーンが教会などを中心に描かれて一つのジャンルとして確立されています。

宗教画の古典的な名匠は枚挙に暇がありませんが、近代を生きた画家にも伝説的ともいえるマエストロが登場しました。

そのうちの一人が「ジョルジュ・ルオー」です。

ルオーは派閥や画壇といったグループの枠に収まらない独自の画業を貫いた画家で、荒々しいと表現される作品には無二の迫力が宿っています。

本記事ではそんなジョルジュ・ルオーのプロフィールや生い立ちを概観しつつ、作品とその魅力をご紹介します。

プロフィール


1871年‐1958年
19 世紀後半から20世紀半ばにかけて活躍した、フランスの画家・版画家・製図者。

写実主義とは異なる、心情的に捉えた色彩を描くフォービスムあるいは表現主義の画家と捉えられる場合もあります。

むしろ独自路線を追求したアーティストとも考えられます。

絵画だけではなく版画でも高く評価され、彼が選んださまざまな画題の中でもとりわけキリストをモチーフとした宗教画が有名です。

生い立ち


ジョルジュ・ルオーは1871年5月27日、パリで指物職人の子として生を受けました。

決して裕福とはいえない家庭環境でしたが14歳でステンドグラス工房に就職し、職人エミール・イルシュの弟子として働きます。この経験により、ルオーの作品に見られる太く黒い豪快な輪郭線がステンドグラスの影響を受けたものであることが指摘されています。

ルオーは労働のかたわら装飾美術学校の夜間部に通い、19歳頃に国立美術学校のエコール・デ・ボザールに入学。

本格的に画家を志しての修学に励みました。
この学生時代にルオーは、後にフォービスムの代表的存在となるアンリ・マティスと出会っています。
また彼らの指導教官は象徴主義の大家、ギュスターブ・モローでした。

モローはまったくタイプの異なるルオーとマティスという二人の弟子の個性を尊重した教育方針を守り、ルオーは生涯にわたって師のモローを敬愛し続けたといいます。

モローの死後、1903年にはその旧宅がギュスターブ・モロー美術館となり、ルオーは初代の館長とキュレーターを務めました。

初期のルオー作品、特に20歳代を中心とするものには光と影のコントラストで知られるレンブラントの影響が見てとれます。

茶系統の色を多用した暗めの色彩が印象的ですが、やがて30歳代になるとルオーの代名詞ともいえるステンドグラスにインスパイアされた太く黒い輪郭線と鮮やかな色遣いが登場します。
絵の題材にはよく知られたキリスト、そしてサーカスの団員やピエロ、娼婦などといった人々が挙げられ、ルオーの目は神なる者から社会のあらゆる層で働く人々にまで向けられていたといえるでしょう。

ルオーは1917年にフランス屈指の画商であったアンブロワーズ・ヴォラールと契約し、その作品のすべての所有権がヴォラールにあるものとされました。
ところがルオーは一度仕上がった作品に対しても何度も加筆を行い、納得するまで決して世に出さないという方針を貫いていました。

ルオーは晩年、自身の存命中に完成する見込みのない未完成品は焼却する旨を公表しますが、ヴォラールがこれに反発。

未完成品であっても自身に所有権があると主張して裁判となります。

しかし1947年、ルオーの訴えが認められる形で結審。およそ300点もの未完成作品をヴォラールの元から引き揚げたルオーは、そのすべてを焼却して作家としての矜持を守りました。

生涯創作を続けたルオーは1958年2月13日、パリにて86年の生涯を閉じます。
その葬儀はフランスにより、国葬にて執り行われました。

ルオー作品の特徴とその魅力


ルオーの作品は特定の画壇やスタイルに属さない独自路線とされることが基本ですが、大きな枠ではフォービスムや表現主義の一部として捉えられる場合もあります。

それにはルネサンス以降伝統的な潮流であった写実主義に対して、心象が捉えた色彩を描くというスタンスが関係しています。

ステンドグラスのデザインや構図に影響を受けたとされるルオー独特の太く黒い輪郭線の取り方が有名ですが、その鮮烈で強いインパクトを与える色遣いはいい意味でグロテスクとすら評されることは周知のとおりです。

ルオーはキリストだけではなく娼婦・ピエロ・議会などといった題材をモチーフにした作品も残していますが、道徳や社会への批評といった自身の哲学的観念を問うたものとも解釈されます。

これらのことから、人間そのものへ向けたルオーの熱い視線が作品に一層の深みと魅力を与えているといえるでしょう。

20世紀が誇る宗教画家、ジョルジュ・ルオー



情熱的で強烈な印象を見る者に与えるルオーの作品。特にキリストを題材にしたもののイメージから、20世紀が誇る宗教画家と評価する人もいます。

彼のキャリアの最初にあったステンドグラス職人としての経験も、教会と関係性の深い産業であることからその画業を形作る重要なファクターであったと考えられます。
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