運慶・快慶
うんけい・かいけい

古代から日本文化に大きな影響を与えてきた信仰に「仏教」があります。

仏教は大陸や半島を経由して、哲学や倫理だけでなく、美術や工芸といった文化に関するものも含め伝わりました。

そのうち本尊となる仏像は当初、金銅仏が多かったものの、やがて日本独特の木彫仏として技法が完成されていきました。

そうした仏像彫刻を担ったのが仏師であり、特に鎌倉期に活動した「慶派」と呼ばれるグループがよく知られています。

そんな慶派の仏師を代表する二人が「運慶」と「快慶」です。
本記事では運慶・快慶のプロフィールや生い立ちを概観しつつ、作品とその魅力をご紹介します。

運慶のプロフィール


生年不詳‐1224年(貞応2年)
平安時代末から鎌倉時代初めにかけて活躍した仏師。

生い立ちに関する詳しいプロフィールは分かっていませんが、興福寺を拠点に造仏を行っていた奈良仏師・康慶の子であり「慶」の字を継ぐ慶派仏師の代表格として知られています。

快慶のプロフィール


生没年不詳(平安時代末~鎌倉時代初め)
平安時代末から鎌倉時代初めにかけて活躍した仏師で、運慶と同じく慶派を象徴する人物の一人ですが詳しい生い立ちは不明となっています。

ただし、自身の銘を入れた仏像が多数現存しており、運慶と共に慶派を牽引した精力的な仏師であったことがうかがえます。

運慶の生い立ち


運慶は先述のとおり奈良仏師の系譜を引く康慶の実子であり、作例の銘に見える「大仏師康慶実弟子運慶」という表記は「実子である弟子」という意味と捉えられています。

運慶がどのような人生を送ったのか詳しいことは分かりませんが、造仏から確実に分かる年代を追っていくことが可能です。

現在、確認できる運慶の最も古い作品は奈良・円城寺の大日如来坐像で、1176(安政2)年に落慶しています。

1180(治承4)年には、平氏の焼き討ちにより東大寺と興福寺が焼失し、運慶ら慶派の奈良仏師は失われた仏像の再興を担当しました。

1186(文治2)年には、鎌倉幕府からの依頼による造仏に携わるようになり、その作品群はいまも鎌倉周辺に残っています。
1194(建久5)年以降は東大寺の造仏を中心に行い、1203(建仁3)年に僧侶の最高位である法印に任じられました。

晩年には鎌倉幕府の中枢にある要人らからの依頼を専門に受け、1224年(貞応2年)12月11日に入寂しています。

快慶の生い立ち


快慶は生没年も詳しい生い立ちも不明な仏師ですが、精力的な造仏活動から多くの作品を残しています。
史料上で快慶の名が見える初出は、運慶を願主とする1183(寿永2)年の法華経「運慶願経」で、そこに結縁者の一人として記されています。

仏像制作の最古例としてはボストン美術館が所蔵する弥勒菩薩立像で、これは1189(文治5)年の制作です。
運慶らと共に焼失した東大寺・興福寺の仏像再興事業に携わり、1194(建久5)年には東大寺の多聞天像を担当。1203(建仁3)年には運慶と共に東大寺仁王像造営に関わり、同年に法橋(ほっきょう)の位を授かりました。

東大寺大仏再興の責任者であった重源(ちょうげん)と交流があり、その関係性からの制作実績も多く残されています。

快慶の弟子・行快が制作した阿弥陀如来の胎内文書に1227(嘉禄3)年の紀年銘があり、そこでは快慶が故人であることも記されているため、この頃までには入寂したことがうかがえます。

運慶作品の特徴とその魅力


運慶の作品の特徴は「男性的」とも評されるダイナミックな肉体や衣服の造形です。
平安朝の仏像は、優雅でふくよかな肉体にゆったりした独特の衣を表現するのがセオリーでした。
しかし、運慶が作り上げる仏像の特徴はボディビルダーを思わせる隆起した筋肉や、躍動感あふれる衣服の流れを作り出しました。
こうした力強さが運慶作品の魅力でしょう。

快慶作品の特徴とその魅力


一方、快慶の作品は柔らかく繊細な印象の造仏が多いとされています。
絵画的・理知的とも評され「安阿弥様(あんなみよう)」と呼ばれる独自の作風となっています。

これは快慶が一時期、自身の作品に「巧匠アン(梵字)阿弥陀仏」と銘を入れていたことに因むもので、熱烈な阿弥陀信者であるとともにクリエイターとしての強い意識を持っていた証ともいえるでしょう。

繊細さの中にも、そうした自負のようなものを含む造形の存在感が、快慶作品の魅力の一つといえます。

鎌倉の仏像彫刻を牽引した仏師、運慶と快慶


運慶・快慶が主に活躍した平安時代末から鎌倉時代は、仏像の需要が貴族中心から武士へと移っていった時期でもありました。

造形の嗜好が、文字どおり貴族的なものから武家的なものへ、優美なものから勇壮さを感じさせるものへと変化していったとも言い換えられます。

そうした過渡期に仏像彫刻技法の画期となったのが、彼ら慶派の仏師だったといえるでしょう。
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