加藤泉
かとういずみ

芸術家の中にはジャンルに限らず特定のモチーフを好んで取り上げ、それらの特徴から一見しただけで誰の手による作品か一目瞭然になる作風の人がいます。

モチーフ自体がその作家の代名詞的な役割を果たしたり、作品から受けるインパクトや独自性自体がシグネチャーとなったり、創作者のスタイルを何よりも雄弁に語る指標になるともいえるでしょう。

日本の現代アーティストにもそうした独特な作風で知られる人物が数多くいますが、今回は画家・彫刻家の「加藤泉」をピックアップしてみましょう。
極めて特徴的なデフォルメを施した人体をモチーフとした作品群で知られ、その独自性から一目で加藤泉作品であることが分かる強烈な個性を持った作家です。

本記事では、そんな加藤泉のプロフィールや生い立ちを概観しつつ、作品とその魅力についてご紹介します。

プロフィール



1969年(昭和44年)‐

昭和・平成・令和にかけて活躍する日本の画家・彫刻家。
初期には油彩画や木彫、やがてソフトビニールなどの素材を用いた立体物も制作し、幅広い表現手法を駆使しています。

2007年にヴェネツィア・ビエンナーレ国際企画展に招聘されたことをきっかけに国際的な評価が高まり、アジアや南米等でも精力的に展覧会を行っています。

生い立ち



加藤泉は1969年(昭和44年)、島根県で生まれました。
1992(平成4)年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業しますが、即座にアーティストとしてのキャリアを開始したわけではありません。数年間のブランクがあり、育児やアルバイトなど家庭人・社会人としての営みを行いながら創作活動をスタートさせました。

当初は油彩画を中心とした作品で注目され、イタリア・ドイツといった海外の美術展に作品を出展しだしたのは2002(平成14)年のことです。2004(平成16)年頃からは絵画だけではなく立体物としての作品も発表するようになり、翌年アメリカ・ニューヨークで行われたジャパン・ソサエティ・ギャラリーの美術展「リトルボーイ:爆発する日本のポップカルチャー」に絵画とともに立体物を出展。『無題2004』と題した立体作品などが高い評価を受けました。
この美術展のキュレーションは村上隆が務めており、加藤の名を国内外に広く認知させる契機となったことが知られています。

また2006(平成18)年に制作した絵画『無題』を、2007(平成19)年の第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際企画展への招待により出品。当作品は現在、国立国際美術館が所蔵しています。

日本のみならず世界各国での個展も精力的に開催しており、2018(平成30)年には北京・Red Brick Art Museum、翌年はメキシコ・Fundación Casa Wabiおよび東京・原美術館と群馬・ハラ ミュージアム アーク、2021(令和3)年にはアメリカ・SCAD Museum of Artなどで実施しています。
加えて2014(平成26)年からはニューヨーク・フランス・上海・香港・ソウルのペロタン・ギャラリーでも個展を開催しており、その人気はますます高まっているといえるでしょう。
ペロタンといえばフランスのトップギャラリーであり、このことから加藤の作品の国際的な価値が認められた証ともなっています。

2022(令和4)年はホノルルのハワイ・トリエンナーレ2022、ニューヨークのAssembly 1: Unstored、フランスのA SUMMER IN LE HAVREにそれぞれ参加。また、ロンドンのスティーブン・フリードマン・ギャラリーにおいて個展を開催します。

加藤泉作品の特徴とその魅力



加藤泉作品のモチーフとしてよく知られるものの一つに、デフォルメした胎児のような人型の生命体があります。これはしばしばアフリカや東南アジアなどの民族工芸を想起させるデザインと例えられ、植物や昆虫や子どもなどのイメージが混然一体となった印象を見る者に与えます。

一見すると不気味でフォークロリックな雰囲気ながら、どことなく愛嬌のようなものがにじみ出ており、原始的なエネルギーを感じさせるとともに人によっては「キモカワイイ」と表現されていることは有名です。

加藤は絵画制作において絵筆を使わず、薄い手袋を着けた手で描くという手法を用いています。この技によって繊細さではなく具体的な迫力を絵に込めることを実現したと評価されています。

立体物では木彫に留まらずソフトビニールや石など多様な素材を扱い、2022(令和4)年には宮城県石巻市に所在する本間家の蔵周辺に、石巻産の稲井石を用いた作品『無題』を展示。かつて大きな津波被害を受けた同地で、流されることなく残った建造物などに添うようにして配置、展示されています。

こうしたある種の力強さを印象付けるメッセージ性の顕現は、加藤泉作品の大きな魅力の一つといえるでしょう。


プリミティブな力を印象付けるアーティスト、加藤泉


加藤泉の作品を評する際、しばしば「プリミティブ」という表現が用いられます。
「原始的な」と訳される言葉ですが、その造形には原初のエネルギーを彷彿とさせる熱量や力強さを感じられるといえるでしょう。

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