バンクシー
バンクシー

多くの人の心を震わせる芸術家は歴史に長くその名を残し、その人生が語り継がれるほどの影響力を持つことも少なくありません。どういったジャンルの創作であっても、自己を表現することへの情熱が発現したものという側面があるでしょう。

ところが、中には自身の素性を隠して活動する「覆面アーティスト」といったスタイルを貫く芸術家も存在します。

現代でもっとも知名度が高いといっても過言ではない覆面アーティストとしては「バンクシー」の名が挙げられます。決して正体を明かすことなく、建物の壁などを中心としてゲリラ的に作品を残していくストリートアーティストでもあり、それらに込められた強烈な社会的メッセージが人々の関心を引き付けてやみません。

本記事ではそんなバンクシーについて、現在判明している限りでのプロフィールや活動履歴を概観しつつ、作品とその魅力についてご紹介します。

プロフィール



生年月日不明
イギリスを拠点として活動する匿名のグラフィティアーティスト・映画監督・政治活動家。

型紙を使うステンシルアートという手法のグラフィティ作品を中心とし、企業や他のアーティストなどからの制作依頼はほとんど受け付けず街頭の壁や石などに無許可で描くというスタイルを貫いています。

ドキュメンタリー映画の監督も務めており、アカデミー賞のベストドキュメンタリー部門にノミネートされた実績も。

政治的・社会的なメッセージ性の強い作風で知られ、抑圧や権威への抵抗を通して平和を希求する思いを感じ取れます。

生い立ちも謎。活動履歴は?



バンクシーは先に述べたとおり匿名のアーティストであり、その素性は謎に包まれています。正体に関してはいくつかの説や信憑性のある仮定も見受けられますが、本記事ではバンクシーの活動履歴を中心に概観してみることにしましょう。

バンクシーの名が世に知られるようになったのは1990年代のことで、イギリス南西部のブリストルが作品の発祥と考えられています。繰り返し述べているようにストリートに無許可でグラフィティを残すスタイルですが、厳密な意味では犯罪に相当するため状況によっては作品自体が消去されてしまうということもありました。

2003年7月にロンドンで行ったゲリラ個展「Turf War」では歴史上の名画に落書きした状態の作品や動物の体にペインティングを施したものなどを展示し、それまである意味ストリートでの都市伝説的な存在だったバンクシーの認知度を急激に高めることとなりました。

2005年3月、アメリカではニューヨーク近代美術館・ブルックリン美術館・メトロポリタン美術館・アメリカ自然史博物館、イギリスではテート・ブリテンでそれぞれ作品を無許可で陳列。あまり人通りの多くない部屋の一隅に解説キャプションとともに展示するという、愛嬌すら感じさせる試みだったことがうかがえます。

同年5月には大英博物館においても壁画作品を無断陳列していますが、その後個展で展示した際には「大英博物館より貸与」と機知に富んだキャプションを付けています。なおこの作品は2018年に大英博物館が正式なコレクションと位置付けました。

また同年8月にはヨルダン川西岸地区でパレスチナ側にあたる分離壁に計9つの絵を制作。子どもが壁に穴を開ける様子や、穴の開いた壁から海が見えるといった情景を描き出しました。このときバンクシーはパレスチナの治安部隊から威嚇発砲を受け、実際に銃口を向けられていたといいます。

2007年12月にはベツレヘムでも同じく分離壁に作品を残しており、これはバンクシーによる恒例のチャリティー活動として複数のアーティストたちと共同で行われました。パレスチナ問題への関心は高く、2017年3月にはベツレヘムのヨルダン川西岸地区パレスチナ側分離壁の至近に「世界一眺めの悪いホテル」を開業するなど、強いメッセージを発し続けています。

2019年12月には日本でも活動したと見られ、兵庫県洲本市(淡路島)の公園近くの壁にバンクシー作品の可能性がある絵が発見されましたが、公共物への落書きとして兵庫県警へ被害届が出されました。

2020年5月にはコロナ禍に立ち向かう医療従事者をテーマにした作品をイギリス・サウサンプトン病院に寄贈。翌年のオークションでは約25億円で落札されています。
また2021年10月にはかつての作品が再度オークションに出品され、以前の落札直後に趣向として半分ほどシュレッダーにかけられた作品が、バンクシー作品最高額となる約28億8千万円で落札されました。

バンクシー作品の特徴とその魅力



バンクシーの作品を貫くテーマとして、風刺性や反戦・反権威・反抑圧といった自由と平和へのメッセージ性があります。

風刺のきいたステンシルアートはストリートの景観に不思議な調和とアクセントを生み出し、厳密には合法の活動ではないながらそこに芸術的価値が生み出されるという逆説性も、バンクシー作品の魅力を増す要素と考える人が少なくありません。


芸術が武器のレジスタンス、バンクシ―



バンクシーの持つメッセージ性や活動スタイルから、こ「芸術テロリスト」と例える人もいるといいます。この言葉がもたらすイメージの是非はともかくとして、バンクシーは芸術の力をもって平和を強く希求するメッセージを伝え続けるアーティストといえるでしょう。

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