三栖右嗣
みす ゆうじ

1927年4月25日 - 2010年4月18日
1972年アメリカにアンドリュー・ワイエスを訪ねる。
1975年沖縄海洋博覧会「海を描く現代絵画コンクール展」に『海の家族』を出品、大賞受賞。
1976年第19回安井賞展に『老いる』を出品。安井賞受賞。
   皇太子殿下(現:天皇陛下)依頼により『沖縄の海』を制作。
1981年石版画集「林檎のある風景」刊行
1982年リトグラフ屏風「紅梅図」刊行

三栖右嗣(みす ゆうじ)は、現代リアリズムの巨匠とも呼ばれる日本の洋画家です。
写実性の高さだけでなく、独自のタッチで温かみのある作品を描いたことで知られています。油彩画・リトグラフ・緞帳(どんちょう)など、キャンバスの種類は問わず作品を制作しました。
1976年には、現・天皇陛下の依頼で作品を制作したこともあり、作品は東宮御所に所蔵されています。
今回は、三栖右嗣の生い立ちと作品の魅力を紹介します。

1927年(昭和2年)-2010年(平成22年)
写実性の高い油彩画を得意とする日本の洋画家。
現代美術におけるリアリズムの巨匠とも評される。写実主義に見られる現実を正確に再現するのではなく、柔らかいタッチで表現された作品が特徴。
油彩画だけでなく、リトグラフや緞帳も手掛ける。
2012年には制作拠点のあった埼玉県に、ヤオコー川越美術館(三栖右嗣記念館)が開館。

生い立ち


三栖右嗣は1927年、神奈川県厚木市に三栖家の次男として生まれました。本名は三栖英二です。1944年に埼玉県へ転居し、以降晩年まで埼玉県を制作拠点とします。
終戦の年、1945年に東京美術学校油画科(現在の東京芸術大学美術学部油絵科)に入学。前年から東京美術学校の教授となった、安井曽太郎(やすい そうたろう)の教室に所属します。
安井曽太郎は、明治時代に活動した浅井忠(あさい ちゅう)に師事した日本洋画の巨匠です。一水会委員や日本芸術院会員、帝室技芸員、日本美術家連盟会長などの任に就き、明治~昭和にかけて日本の洋画界を牽引しました。人物画や静物画が有名で、くっきりと引かれた輪郭に、目を惹く色彩が特徴の作品を描きました。
三栖右嗣は1952年に東京美術学校を卒業し、1955年の一水会展に出品した『室内』で初入選を果たします。一水会とは、有島生馬や安井曽太郎、石井柏亭らが1936年に創立した団体です。写実主義の技術を重んじ、伝統的な西洋絵画を重視する会派でした。
1959年まで、一水会へ作品を出品し続けました。またこのころ、映画会社・大映の広告宣伝部に入社し、映画関連の仕事をしていたと言われています。
1972年には、ヨーロッパやアメリカへ旅行し、その際にアンドリュー・ワイエス宅を訪問しています。アンドリュー・ワイエスは、近代リアリズムの代表的画家です。アメリカ東部の風景や人々の暮らしを描きました。
三栖右嗣は同年から1976年まで、銀座の飯田画廊で個展を開催。1975年の沖縄海洋博覧会では、『海の家族』で大賞を受賞しています。
1976年に第19回安井賞展に出品した代表作『老いる』で、安井賞を受賞。『老いる』は実母をモデルにして描かれた油彩画で、年老いて骨ばった肉体としわ、白髪をリアルに描いた作品です。
以降も2010年に死去するまで、頻繁に個展や画集の刊行を行いました。

アンドリュー・ワイエスが三栖右嗣へ与えた影響


三栖右嗣は、1972年のアメリカ旅行の際に立ち寄ったアンドリュー・ワイエス宅で、彼の作品に感銘を受けたと言われています。
アンドリュー・ワイエスの作品は、アメリア東部に住む人々の暮らしを写実的に描いたものが多いことが特徴です。画面は暗く、物さみしい雰囲気を醸し出しています。
アンドリュー・ワイエスの表現法に影響を受けた三栖右嗣は、以降より一層リアリズムを追求するようになりました。

三栖右嗣記念館


三栖右嗣記念館は、ヤオコー川越美術館の別名です。三栖右嗣の死去後に、埼玉県を中心に展開するスーパーマーケット・ヤオコーが創設しました。
三栖右嗣の代表作『老いる』も、ヤオコー川越美術館が所蔵しています。

作品の特徴とその魅力


三栖右嗣の作品は、高い写実性と温かみのあるタッチが特徴です。
写実主義を掲げる画家の作品は写実性を重視するため、どうしても写真のように情景を表現しにくいデメリットがあります。しかし三栖右嗣は、写実性に独自のタッチを取り入れ、情景の温かみを表現しました。
代表作『老いる』や『生きる』は、実母を描いた作品として有名です。描かれた肉体からは、それまでの母の人生が深いしわとなって刻まれており、哀愁漂う表現が印象的です。
人物画の他には、花や海を描いた作品も多く残しています。沖縄のエメラルドグリーンの海を好み、『光る海』や『沖縄の海』などの作品を制作しました。
油彩画だけでなく、リトグラフや緞帳といった作品の制作にも取り組みました。リトグラフとは、石版に描画して版画として刷る技法です。色の数だけ石版を作り、すべての版を刷って制作します。
緞帳は舞台と客席を仕切る幕のことで、ホールの顔です。三栖右嗣の代表作に、『爛熳』があります。画面いっぱいに描かれた桜が美しい緞帳です。

リアリズムの巨匠、三栖右嗣の功績


三栖右嗣は、現代美術のリアリズムを象徴する洋画家です。
パブロ・ピカソに代表されるキュビズムのように、抽象絵画が流行した20世紀において、古典的な写実主義を守った人物ともいえます。しかし三栖右嗣の作品は、写真のように正確なリアリズムではなく、情緒ある作風が特徴です。
伝統的な技術にとどまらず、独自のタッチで描いた作品は多くの人を魅了し続けています。
爛熳
光る海
裸婦
老いる
海の家族
コスモス
秋日
他の画家と比べ写実性が高く自他共に認めるところで、筆致の正確さ・色使いに
おいても一瞬は写真と見紛うほどです。
明確な色彩こそが作品をただの「模写」ではなく対象物の持つ生命力や存在感を
際立たせた「芸術」へと昇華させているとし、評価が高まっております。

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